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5話 妹、兄を観察する2

 夕飯も食べて自分の部屋で絵本を2、3冊、図書室で借りました。


 今日はサリバン先生に貰った京魔国文字の一覧表を見ながら、絵本を読んでいました。


 今日、習った文字や数字などを復習しました。


 そこへ、


 「おじゃまー」


 エクレールがやってきました。


 「あれ、エクレール、どうしたの?」


 「ねえねえ、これからユートの所に遊びに行かない、……夜はどんな生活してるのか知りたいし」


 「うーん、いいよ」


 「良かった、じゃあ早速行こう」


 私とエクレールは一緒に兄さんのいる部屋へと向かいました。


 途中で今日、兄さんと一緒にいて話したことをエクレールに伝えました。


 すると、「エリカって、直球ストレートに聞くのね」と言われました。


 兄さんの部屋について護衛に就いている男の人に声をかけて兄さんに取り次いでもらいました。


 そして、兄さんの部屋に入ると、本棚があって本がいっぱい並んでいます。


 箪笥に、机、観葉植物が置かれて、こじんまりとしています。


 八畳の畳の上にはお日様の匂いがするふっかふかの布団が敷いてあり、高級羽布団が使われています。


 部屋の半分がフローリングで半分が和室になっています。


 「やあ、エリカ、それにエクレールもどうしたんだい」


 「兄さんに話があってきたの。昼間のスマホ、どうして、桜空城に電波が通ってるのかなって」


 「ああ、それは俺も何でかは知らないが、どうやら、ここと地球で昔から通じでいるらしい」


 「そうだね」


 私は思い出しました。

お父さんが地球の普通の大学生として留学してきたことを。


 「それよりもさ、ユート、何読んでんの?」


 エクレールが机に座って本を読んでいる兄さんに聞きました。


 「えーと、これは小説だよ」


 「何の」


 「男と女の子達の日常学園生活を書いたラブコメディだよ」


 「作者は誰、兄さん」


 「ヒナタ・ダイチ」


 「この部屋にある全部がそういう関係の本なの。ユート」


 「まさか、違うよ、この部屋にあるのはごく一部で本部屋にはまだまだあるよ」


 「「…………」」

私とエクレールは兄さんを見つめます。


 じーいと、


 じーいいと、


 沈黙。


 「なんだよ、二人して何か残念な目で俺を見るなよ」


 じーいと、


 じーいいと、更に翳りを付けて


 沈黙。


 「もう、哀れな感じしてきたから、もう無言で見つめるのはやめてくれ……」


 「兄さんって何か残念……」


 「それよりもさー、部屋の奥の扉って何ー」


 エクレールが兄さんの部屋の奥の扉に気づいて言いました。


 「あれは、卓球部屋だよ」


 「卓球?」


 「スポーツだよ。ラケットを握って、ボールを打つ、競技だよ」


 「らけっとにぼーる?」


 「兄さん、とりあえず、やって見せたら」


 「そうだな、じゃあ、とりあえずやってみよう」


 そうして、私とエクレールは兄さん専用の卓球部屋に入って卓球をすることにしました。


 卓球台に私と兄さんが向かい合って、卓球をしました。


 たん、たたん


 「それ、いくぞ、エリカ」


 たん、たたん


 「打ち返せるかな、兄さん」


 バシュ


 「本気出してきたな、エリカ、俺も本気を出すからな」


 それから、しばらく、私と兄さんの打ち合いはしばらく続き、勝敗は兄さんの勝ちでした。


 その様子を見ていたエクレールは「意外と卓球って奥が深いのね……」と呟いていました。


 兄さんは顔はお母さんに似て整った容姿をしていますし、背も高いとは言いませんが、170センチ以上はあります。性格も良いですし、優しいし、オタクですかが、爽やかで隠し事は下手でしません。


 うちの兄さんはいい人です。


 「今日は、もうおしまいにするか」


 「そうだね」


 私と兄さんはそう言って、私達は卓球部屋を出ました。


 「兄さんにはまだ、勝てないなあ」


 「エリカに勝てる数少ない得意なものだからな、まだまだ負ける訳にはいかないな」


 そこへ、


 「失礼しますにゃ。陛下」


 兄さんの世話係りのコーネリアさんが部屋に入ってきました。


 「コーネリア、もう風呂の時間か」


 「そうですにゃ」


 「ちょうど、汗もかいて、風呂に入りたかったんだよ」


 「それでは、私がお背中を流しますにゃ」


 「いいよ、コーネリア」


 「そんな陛下、詰まらないにゃ」


 そう言って、コーネリアさんは兄さんに近づいて腕を組みました。


 コーネリアさんは幼い面差しに猫耳をぴくんと動かし、豊満な胸を兄さんの腕にはさみます。


 「コーネリア、妹がいるんだから、やめてくれ」


 「何、おっしゃってるの、陛下と私の仲ではありませんかにゃ」


 兄さんは特に変わった様子もなく、ただ、平然としています。

 

 「とにかく、俺、風呂入ってくる。コーネリア、途中で入ってくるなよ。これは命令だからな」


 「はいにゃ」


 「そういうことで、エリカ、今日はもうお休み。エクレール、エリカを頼んだぞ」


 「お休みないさい。兄さん」


 「お休み、ユート」


 挨拶を済ませると、兄さんは風呂場へ行ってしまいました。


 コーネリアさんは兄さんの傍について行きました。


 私とエクレールは部屋に戻って、お風呂に入りました。


 そして、寝台に入ってエクレールと眠ることにしました。

 

 「ねえ、エリカ、ユートの好みの女の人って、知ってる?ユートの心と動かすような人」


 「そうだな、ツンデレが好きかな」


 「つんで…れ、何それ」


 「まあ、人前ではツンとした態度で二人きりになると甘えてくる人」


 「そうなんだ」


 それから、私とエクレールは静かに夢の中に引きこまれました。


 私は夢を見ました。


 女の人と会ったのです。

その人は、金の髪に青い目のとっても可愛らしいですが、どこか中性的な顔立ちのお姫様です。


 そのお姫様は静かに私に笑いかけてくれます。


 すると、日の光のような暖かさを感じ心が満たされるのです。


 そのお姫様の名前はヴィクトリア姫。


 私がお姉さまと慕っている異国のお姫様でした。


 

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