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2話 新たな生活

 お父さんとレッドを見送った翌日。


 私はお世話係のメグさんと朝の準備に手伝ってもらいながら、今日の予定を確認していきました。


 「今日からエリカ姫様の家庭教師にいらっしゃる先生はサリバン様というご婦人です。サリバン様はエリカ姫様のお父上でもあるユージン様の乳母でもあらせられた方でエリカ様ともすぐ打ち解けて勉強もはかどることだと存じます」


 「そうなんですか。今から楽しみです」


 お父さんの言うとおり、私は好きなことを始めるのです。

 私はこの京魔国を知りたい。

 そのために勉強をするのです。


 私は兄さんに昨日、そのことを相談に乗ってもらって、家庭教師を呼ぶことにしたのです。


 


 それから、先生がきました。

 60歳位のおば様で茶色髪に一筋の白髪が混じった女性でした。

 

 「初めまして、エリカ姫様、お目にかかれて光栄ですわ。サリバンと申します」


 優しい笑顔に安心して私も挨拶をしました。


 「初めまして、私はエリカ・アイハラ・ラインハートと申します。どうぞ、よろしくお願いします」


 「それでは、はじめにエリカ姫様は何をどこまで学ばれているか確認することが必要です。そのために本日は試験をしたいと存じます」


 「はい」


 私はそれから、この世界について知っていることを話して、簡単な計算や言葉などを書きました。


 エストランダの孤児院で習った歴史や文字や計算、お城でメイドをしていた時の礼儀作法が役に立ちました。けれども、残念なことにエストランダと京魔国の使っている文字が違うことで私は新たに京魔国近辺で使われている文字を学ばなければならないことが分かりました。


 「エリカ姫様の京魔国での知識のレベルは初等教育の5年生レベルに該当します。これは思っていたより良い結果でございます。京魔国では、義務教育として初等部6年に加え、中等部3年があります。ここまでが一般教育でさらに学ぶものは高等部3年があり、その上は大学校があります。」


 「何か地球と同じみたい……」


 「それはそうでしょうね、ユージン坊ちゃまが学んで大学校が設立させたものですから……」


 「そうなんですか、お父さんが作ったんだ……、もし良かったらお父さんの小さな頃のお話聞かせてもらえませんか?」


 「ええ、喜んで、ユージン坊ちゃまはエリカ姫様に似ておいでです…………」


 それから、サリバン先生と私はお父さんの小さな頃のお話をして、おしゃべりに夢中になりました。


 サリバン先生のお話でお父さんは小さな頃、泳げなくてかなづちだったことや高い木に登って降りられなくて大泣きしたこと、ある日ミツバチの巣を突いたらミツバチの大群に襲われて刺されて、ミツバチ恐怖症になったことなど色々な話をして聞かせてもらいました。



 そして、その日の夜です。

 サリバン先生に勧めてもらった京魔国の絵本を部屋で読んでいました。

 

 「こんばんは、エリカ」


 私の名前を呼んで現れたのは、エクレールさんでした。


 昨日の挨拶の時、以外初めて会いました。


 「こんばんは、エクレールさん」


 「あら、私のことは呼び捨てでいいわ、”さん”はいらないわよ」


 小さくて可愛い緑の髪の妖精、エクレールは言いました。


 「そうですか、それから私に何か用ですか」


 「そうね、あなたに色々、お兄さんについて、教えてもらいたいと思って、こっちに来てから何か面白いことないかなって、探してたのよね」


 「そうなんですか、それで、何か兄さんについて面白いことが分かったのですか」


 「それがね、あなたのお兄さん、なぜか女性にモテるでしょう。それで桜空城での人気を聞いてみたら、好評で恋人候補に3人の女性の名前が挙がっているの」


 私はエクレールの言葉に耳を傾けて聞きます。


 「一人目はユリアーネ。宰相の娘で竜族。通称”西の方”。二人目はコーネリア。ユート陛下の筆頭世話係で猫族。通称”東の方”。そして、三人目はプリシラ。魔女。要注意人物で通称”南の方”。以上があなたのお兄さんの恋人候補の情報よ」


 「そっか」


 私は冷静になってエクレールを見ました。


 「エリカ、あなた意外と落ち着いているのね。何か知っているの?」


 「うちの兄さん、現実の女の人よりも想像上の女の人に萌えるタイプなの」


 そう、私の兄さんはオタクなのである。


 「そうなの……」


 エクレールはそう言って、小さな声で「これって新発見」と呟いた。


 


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