18話 入れ替わり7
朝になりました。兄さんの部屋で目覚めることに慣れて、エクレールが隣に寝ています。
私は静かに起きて、着替えました。
コーネリアさんに付いてもらって朝の運動もスムーズにでき、朝ごはんもおいしく食べました。
今日の朝は順調に進んでいます。
一方、エリカの身体に入った兄ユートはというと。
朝は筋肉痛で目が覚めて、目覚めは最悪だった。
エリカの世話係のメグに回復の魔力をかけてもらい、筋肉痛を和らげてもらった。
それから、いつもの様に髪を梳いてもらって、可愛いリボンの髪留めを付けてもらった。
「なあ、メグ。メグって化粧しているんだな。……俺にもしてもらえないかな」
「……陛下にですか」
「ああ、待ってくれ。実体じゃない、今の俺だよ」
「エリカ姫様に入った陛下ですね……」
メグは絶対今、女装した実体の俺を想像したのだろう。
「構いませんわ」
「それじゃあ、化粧をしてくれ」
こうして、俺とメグはエリカの顔にどのような化粧が似合うか色々話し合って、結局、唇に紅をさすだけのワンポイントだけだったが、それでも、エリカの顔が少し大人っぽく綺麗になったのは言うまでもない。
これは断じて、お兄ちゃん贔屓じゃないからな。客観的に見て綺麗になったんだから、朝、会う時、妹がどんな顔をするのか、今から楽しみだな。
私は、朝の運動と食事を済ませて、兄さんの執務室へ向かいました。
そして、そこに集まったのは、私と兄さんとエクレール、ユリアーネさんとケーン宰相とサリバン先生、世話係のコーネリアさんとメグさん、リヒャルト兄さんとヴィクトリア姫様の10人が集まりました。
兄さんの執務室は広いですが、この人数だと少し狭いとも感じます。
「おはよう、ここに集まってもらった人達にこれからの作戦を言う」
兄さんが言いました。
「昨日のプリシラの尋問である条件で俺とエリカが元に戻る方法を話すと言った。条件は明日、卓球の試合でリヒャルトの妹君であるヴィクトリア姫がプリシラに勝つことです」
ここに集まった人達はヴィクトリア姫様を見ました。
「初めましての方もいますね、ボクはヴィクトリア・エストランダです。この度は兄、リヒャルトを訪ねてこの国にやって参りました。どうぞ、宜しくお願い致しますわ」
ヴィクトリア姫様は優雅にお辞儀をして、挨拶しました。
兄さんはヴィクトリア姫様の所作に見とれています。
他の皆さんも特にユリアーネさんとコーネリアさんは少々強い視線を送っていました。
「そう言うことで、俺とエリカとリヒャルトとヴィクトリア姫は卓球の練習をする予定だ。何か連絡することはあるか」
特に皆さん連絡することは無かったようでその場で、皆さんは解散となり、私と兄さんとリヒャルト兄さんとヴィクトリア姫様は兄さんの卓球部屋で練習することになりました。
「それじゃあ、早速練習をしよう」
「それでは、よろしくお願いしますわ。ユート陛下」
兄さんとヴィクトリア姫様は卓球の練習を始めました。
たん、たたん。
たん、たったん。
二人の様子を見守っていたリヒャルト兄さんは私に声をかけてきました。
「エリカ、なぜヴィクトリアが京魔国へ来たのか理由を知っているかい?」
「はい、たぶんリヒャルト兄さんとシャーリーさんに会いに来たのだと思います」
私は、シャーリーさんとヴィクトリア姫様の仲がどうなったのか気になって聞きました。
「ところで、ヴィクトリア姫様はシャーリーさんを受け入れましたか」
「ああ、シャーリーが元人魚だというのを知って、俺達の仲を認めてくれたよ」
「そうですか、それは良かったです」
「それに、ヴィクトリアがここに来たのにはもう一つ理由がある」
「それは、何ですか」
「君に逢いたかったからだよ、エリカ」
「え、私にですか……」
「ああ、ヴィクトリアは君に逢いたくてここまで来た。それに、今、一生懸命に卓球の練習をしているのも君が元に戻ることに力になりたいからさ」
「……嬉しいです」
私はリヒャルト兄さんに言われた言葉に嬉しくなりました。
兄さんとヴィクトリア姫様は相変わらず、熱心に練習をしています。
元に戻れたら、ヴィクトリア姫様にお礼を言わないといけないなと思いました。
明日になったら、卓球の試合の勝敗で私と兄さんの運命が握られています。
勝利の鍵となるのはヴィクトリア姫様の手に係っているのでした。




