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17話 入れ替わり6

 兄さんとヴィクトリア姫様が卓球の練習を終えて、夕飯も済ませて、お風呂にも入りました。


 夜の時間になって私は、兄さんに聞きたいことがあって、私の部屋に居る兄さんへ会いに行きました。


 「兄さん、今、話したいことがあるんだけど、時間大丈夫?」


 「ああ、いいよ」


 兄さんは疲れていたのか、二人掛けのソファに横になっていました。


 そして、兄さんは起き上がり、座り直りました。


 私は兄さんの隣に座って朝から気になっていたことを聞きました。


 「兄さん、今朝、兄さんのお腹に刃物で切った傷跡を見つけたんだけど……、それっていつ怪我したの」


 「ああ、見つかっちゃたか、結構傷跡薄くなってきてたんでけどな……、エリカに話しても良いかな」


 「何かあったんだね、兄さん、話して」


 兄さんは真剣な表情をして話始めました。


 「事の始まりは、俺がこの世界に来てからだった。当時俺は高校一年で三年前になるかな」


 「兄さんが行方不明になった時だね」


 「エリカには申し訳なかったが、親父は俺と亡くなったお袋を呼び戻そうとして、俺だけがこの世界にやってきた。場所は京魔国の桜空城で、親父と爺さんと婆さんにあった。エリカにはまだ、爺さんたちのことは話してなかったな」


 「うん、ユリアーネさんから私にお爺さんとお婆さんがいて前の王様やってたって聞いたよ」


 「そうか、ユリアーネからか、爺さんの名前はハルオーディン・ラインハートで婆さんはサキ。爺さんはハルオって愛称でハルオ爺さんって呼んでる。今まで、爺さん達のことを言わなかったのは、爺さんがすごく俺を可愛がりすぎて抱きしめる力が尋常じゃなくがっしりくることなんだ。俺が初めてハルオ爺さんに会った時、挨拶の抱擁を受けたのだが、うぐっとなってお花畑が見えた。それで、エリカのことは爺さんには伏せてサキ婆さんだけに伝えている。」


 「そうなんだ」


 「ハルオ爺さんはダイナミックで粗野でものぐさい所があるが、信念が強く、逞しいどこでも生きて行ける人だ。サキ婆さんは優しくて上品で年に応じた美しさを持っている。サキ婆さんはハルオ爺さんの歯止め役だ。そして、今、世界一周の旅に出ているんだ」


 「そっか、それで、兄さんの傷跡とお爺さん達とどういう関係があるの?」


 「この世界に呼んだ親父とハルオ爺さんは言ったんだ。俺に王位に就けと、それから、俺の王位継承者として、学ぶことになったんだ。初めは嫌だったし、俺には王位に就く覚悟はなかったんだが……ユリアーネが一緒になって話を聞いて支えてくれたんだ。それに城の人も優しくて親切だったから、この城とこの京魔国がだんだん好きになっていったんだ」


 「うん、私もこの国と城の人達が大好きだよ」


 「それから、事件が起こったんだ。俺がこの国に住み始めて3ヶ月が経った頃、京魔国のある領地で奴隷狩りが行われたんだ。猫族を狙って」


 私はあっと、息を呑みました。猫族と言えば、コーネリアさんです。


 「俺は爺さんに頼んで、猫族の様子を見に行ったんだ」


 兄さんは話を続けます。


 「猫族の村々は悲惨な状態だった。建物は壊され、猫族達はバラバラになって、怪我している人たちもいた。そんな時、俺は一人の女の子と出会った。それがコーネリアだった。コーネリアは猫族の貴族の娘で奴隷狩りの手から逃れていたんだ。コーネリアは震えて、孤独だった。俺は救護室に連れ行って保護したんだけど、救護室も奴隷狩りの目に留まって、コーネリアが連れ出されそうになったんだ。俺は連れ去れそうになるコーネリアを助けようとして、怪我をしたんだ。その時に付いたのがその脇腹の傷なんだ。まあ、魔力の治療のお蔭で1週間くらいで完治したんだけどな」


 「そうだったんだ……」


 私は、コーネリアさんと話をした時に、「陛下は私の命の恩人、陛下に私の全てを捧げるのにゃ」と言った言葉を思い出して、兄さんの怪我と関係があったんだなと思いました。


 「それから、俺はこの国を守りたいんだと心から思ったんだ。奴隷狩りから他にもこの国の民を傷つけるものから守りたい。そんな風に俺は思っていたんだ。それから、俺は、ハルオ爺さんからこの国を統治する帝王学を学んだ。そして俺は、京魔国の王になったんだ」


 「兄さんが王様になったのは分かったわ、それから、気になったんだけど、プリシラさんとはいつ出会ったの?」


 「プリシラとは戴冠式に出会ったんだ。貴族の娘でただ軽く挨拶をしただけだったんだ……始めは、俺が王となってから女の人にモテすぎて困るようになったんだ。その時に、俺の魔力の体質が特に異性を惹きつけてしまうことが分かって、魔力を制御する魔具のピアスを作ることになったんだ。作ってくれたのは、魔力が強くて有名なプリシラだったんだ。プリシラは始めは大人しくて優しい人だったんだが、親しくなる内にだんだん変わっていった」


 「ああ、病んでいったのね」


 「そうだ、プリシラはヤンデレキャラだったんだ……。今回のことも本当にエリカには申し訳がないごめんな。守ってやれなくて」


 兄さんは私を抱きしめました。私の身体で。


 私の身体は兄さんと別れた三年前より、成長したけど、小さいんだなって思いました。


 「兄さん、こんばんは色々話してくれてありがとう」


 「俺も、エリカと話が出来て良かった」


 「今日はもう遅いから、部屋に戻って寝るね、お休みなさい。兄さん」


 「ああ、お休み。エリカ」


 私は兄さんと別れて、兄さんの部屋へと戻りました。


 部屋に戻るとエクレールがいて、何か言いたそうなうずうずした顔をしています。


 「ねえ、エリカ、きいて~きいて~」


 「うん、何」


 「あのね、城内でウワサになってるんだけど、リヒャルトの妹のヴィクトリア姫っているでしょう」


 「う、うん」


 「何か、ユートのお見合いに来たってウワサになってるの」


 「ほ、ほえ~」


 「違うのにね、でも、面白い展開になってきたわ。北の方様、いよいよ登場ってね」


 「そうなんだ」


 私は、どきん、どきんと心臓の音が早く鼓動するのを感じました。

 

 その日はあまり眠れずに朝を迎えたのでした。




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