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10話 兄、怒りと焦り

 妹はプリシラの手によって姿を変えられトイレに流された。


 プリシラには妹のエリカのことは城で働く者に箝口令かんこうれいを布いていた。


 だが、プリシラは薬を使ってコーネリアからエリカのことを聞きだした。


 コーネリアは「申し訳ないのにゃ~」と大変、気に病んでいたが、仕方がない。


 いつか、プリシラにはエリカのことがばれるのは時間の問題だったのだ。


 プリシラは代々、魔力を有する貴族の家系に生まれた。


 プリシラは生まれつきの魔力の強さから周りから特別の目で見れらて育った。


 俺と出会ったときは、目の輝きは虚ろでなく、大人しくて、優しい人だった。


 何時頃だろうか、俺のことを困らせては、嫌がらせをして、それを見て楽しそうに笑う彼女。


 今、俺はプリシラを拘束し、エリカのことを聞き出そうとしていた。


 部屋はあまり使われていない客室でプリシラは椅子に座らせて、手を後ろに回して手首と腕に強く結んで縛っている。


 プリシラは嬉しそうに笑って瞳には綺麗な光を取戻し、顔色は良く頬はバラ色に染まっている。


 今のプリシラを見たものは100中99人の男が美しいと思うだろう。


 けれど、俺はそんなプリシラを美しいとは思わなかった。


 今は、むしろ怒りの方が強かった。


 プリシラを事前に来ることを予測できなかったことと、最愛の妹を最悪の形で守れなかったこと。


 その二つだった。


 プリシラには仕事を与え、京魔国の田舎の村のネズミ駆除を命令して三か月になる。


 こんなに早く帰って来るとは予想もしていなかった。


 「エリカはどんな姿になったんだ、答えろプリシラ!」


 俺は怒気を含んだ声で言った。


 「エリカなら、素敵な姿になったわよ。小さくて黒くてつるつるのお肌に手には水かきが生えた両生類よ」


 俺はまさか!と思い聞いた。


 「サンショウウオか、プリシラ」


 「さあ、それは見てからの お た の し み 」


 「ふざけるなあ」


 「いいわぁ。その顔、とても素敵よ。ユート」


 「そんなことより、私、エリカの居場所、分かるかも知れない」


 雷の妖精エクレールは俺の傍で言った。


 エクレールはエリカの友達でプリシラに風で飛ばされて、城の外から戻ってきたのだ。

 そして、すぐに俺の所に飛んできてエリカのことを教えてくれたのだ。


 「本当か、エクレール。」


 「うん、微かだけどエリカの魔力の気配を感じるから」


 「そうか、じゃあ、エリカを探しに行こう」


 「と、その前にプリシラと言ったかしら、あなたには聞きたいことがあったのよ」


 「何かしら、おチビちゃん」


 「エリカを両生類の姿から戻す方法を教えなさい」


 「簡単よ。キスするだけよ」


 「そう、ありがとう」


 「それじゃあ、ユート、エリカを探しに行きましょう」


 「あと、その前にプリシラ、キスは唇じゃなくてもいいんだよな」


 「さあ、それはどうかしら」


 「そうか、今ので分かった。戻ったら、覚悟しておくんだな」

 

 俺とエクレールはエリカを探しに護衛を連れて城を出たのであった。


 残されたプリシラは、嬉しそうに笑ってこれ以上ない喜びで胸が一杯なのだった。




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