それは、過去《きおく》
後々、改稿するかもしれません。
夢を、見ていた。
これでこの光景を見るのは幾度めだったか。
いや、幾度めであろうと関係はない。脳髄の奥まで刻み付けられたこの記憶は、何度見ようと慣れるものではなく、また慣れることも許されない。
重く空を覆う曇天。
体を穿つような激しい雨。
鼻がツンとするような湿度の高い空気と、それに微かに残る、血と硝煙の混ざった悪臭。
踏みしめるのは湿気を含んで黒くなった地面。そこに倒れる無数の死体。それらには敵味方の区別などなく、辛うじて生きている者もまた敵味方の区別などなく踏みつけ、進んでいく。
吐き気を催すほどのそのリアリティは、それが現実だと刷り込もうとするように、まざまざと見せつけてくれる。
鮮血を散らし、地面に落ちていく人の様を。
無様に転がっている、物言わぬ肉の塊を。
ーー結局、お前は誰も救えなかった。
すでに嫌というほど理解しているその事実を、何度も何度も突きつけてくる。
そうして責めるだけ責めておいて、いつも最後には無理矢理に意識を現実へと引き戻す。後悔も懺悔もすることを許さないように。
自分の体のことながら、まったく酷いものだ。
ああ、そうだ。否定などするつもりは毛頭ない。
この記憶は、この過去は俺のーー
前回からの続きです。
もう少し早く上げるとか言っておいてこのザマです。申し訳ありません。
まだ本編に入らないのか、というお叱りを受けそうですが、次からとなります。申し訳ありません。
本当に次の話は1週間以内に書きます。誓います。