表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無自覚な最強清掃員はダンジョンを浄化したい〜Fランクの俺がモップ一本で配信したら、世界1位に認定されました〜  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/15

エピローグ「浄化神の伝説」

 数年後のことである。

 世界各地のダンジョンは、今や「地下宮殿」と呼ばれるほどに、清潔で美しい観光名所へと変貌を遂げていた。

 探索者たちの間では、重厚な鎧よりも、吸水性に優れた作業着が流行している。

 彼らは魔物を倒す際、血を流さないように、そして周囲を汚さないように戦うことを美徳とするようになった。


 それは、かつて「SATO」と呼ばれた、伝説の掃除屋が遺した教えだった。

 彼はいつの間にか姿を消し、その正体は今でも謎に包まれている。

 ある者は彼は神の化身だったと言い、ある者は古代文明の守護者だったと語る。

 しかし、真実はもっとシンプルだった。


 都内の閑静な住宅街。

 朝の早い時間、一本の箒を持って、丁寧に路地を掃いている青年がいた。

 彼は、道行く人々に爽やかな挨拶を交わし、誰よりも熱心にゴミを拾っている。

 その姿に、かつての「世界ランキング1位」の面影を見出す者はいない。


 サトウは、自分の家の玄関を磨き終えると、満足そうに姿勢を正した。

 彼の手元には、あの自律型記録珠が、今ではただの高性能な防犯カメラとして、静かに門柱に設置されている。


「よし、今日も世界は綺麗だ」


 彼は空を見上げ、深く頷いた。

 富も、名声も、彼はすべてを匿名で寄付し、元の質素な生活に戻っていた。

 彼にとっての幸せは、朝起きたときに部屋が整っていることであり、磨いた窓ガラスが太陽の光を美しく反射することだった。


 ふと、路地の向こうから、一人の女性が歩いてくるのが見えた。

 彼女は、サトウの前で立ち止まり、少しだけ緊張した様子で頭を下げた。


「あの……。ここの清掃、お手伝いしてもいいですか?」


 サトウは驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。


「ええ、もちろんです。掃除は、みんなでやった方が、もっと綺麗になりますから」


 彼は予備の箒を彼女に手渡した。

 二人の影が、朝日に照らされた清潔な道路に、真っすぐに伸びていく。

 穏やかな結末だ。

 世界は今日も、彼らの手によって、少しずつ磨き上げられていく。

 汚れのない、眩い明日へと向かって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ