初めてのゲーム配信をする
初めての雑談配信を終えて一週間後。僕は学校から帰ってきて早々、ベッドに横たわった。
「今日暇だし、配信するか〜。」
そう呟きながら、今日はゲーム配信をしようと思い、マラオカートを起動する。このゲームだったら視聴者参加型にできて、楽しめるんじゃないかと思った。
事前にスイッターで、30分後に配信を始める、といった旨の告知をしておく。
@Yui_sumairuho-mutwo
みなさん、お久しぶりです!
今日は20時から、視聴者参加型でマラオカートをやります!絶対勝つよ!
66件のコメント 4.5k件の高評価
久しぶりの配信で、しかも視聴者参加型の配信ということもあってか、投稿が少し伸びていて嬉しい。
普段スイッターでは配信の告知しかしていないので、配信の頻度が非常に少ない僕のアカウントは寂しい状態になっている。
もともと、マネージャーさんからは「身バレに繋がるようなことじゃなければ大体何呟いてもOKです。」と言われていたので、先輩に倣って僕も何か呟こうと思っていたのだ。しかし、僕の推しである花咲メメちゃんにフォローしてもらってから下手なことを呟くのが怖くなってしまった。
小心者の僕にとってはスイッターは魔境なのである。
たくさんついたコメントに「ありがとうございます!」といった返信をしていたら、いつの間にか配信開始五分前になっていた。
「よーし。」
僕は気合を入れ直し、今日の配信のノルマを頭の中で反芻し終えてから配信を始める。
「ゆいの民の皆さん、こんばんは。すまいるほーむ2期生の朝日ユイです。こ、こんゆい〜」
【こんゆい〜〜〜〜〜】
【一週間ぶり!!!!待ってた】
【配信助かる!!!!】
【こんゆい】
【ゲーム配信だ!!\(ˊᗜˋ)/ヤター】
【こんゆいーーー!】
「という訳で今日はスイッターで告知していた通り、視聴者参加型でマラオカートをやるよ〜〜」
『マラオッカーートッエーーーッイツ!!!』と陽気な起動音が鳴り、軽快なbgmが響く。
【いえーーい】
【ボコボコにするよ〜〜〜】
【ゆいちゃん上手いのかな?ボコボコにしたい!!!】
「ゆいの民さん怖い…ぼこぼこにしないで…と、とりあえずルーム開くね。僕をぼこぼこにしたい人はこのIDを打ち込んでルームに入ってね〜」
【可愛い】
【なんで涙目の差分あるんだよ。ボコボコにし辛いじゃないか!!】
【やばい。むしろ唆られてきた】
【これは変態が湧いちゃうなぁ…えへへ】
【ルーム入った!!!当たれ!】
僕がルームのIDを公開すると、すぐに既定の人数分埋まってしまい、レースゲームが始まる。配信を始める前は、人が来なかったらどうしようなんて考えていたが、全くの杞憂に終わり僕は笑みを漏らしていた。僕の配信を見にきてくれる人がいる、という実感が湧き、夢に向かって着実に一歩踏み出せていることがたまらなく嬉しかったのだ。
「じゃあ、一試合目スタートだね〜〜絶対に勝つよ〜」
◇◇◇
「…………1位とってから終わろうと思ってたんだけど、1位どころかずっと10位以下なんだけど…僕下手すぎない…?」
【容赦なさすぎだろw】
【ボコボコにされてて草】
【見てて痛々しいよ…】
【ゆいの民、情けを知らなかった模様】
これでもマラオカート、結構練習したのになぁ。僕のリスナーさんが強すぎる。
「キリがないので、今日はもう配信を終わりにしたいと思います…最後まで見てくれてありがとうございました…」
【4時間お疲れ!リアクションが可愛くて見飽きなかった】
【また視聴者参加型して欲しい!!!お疲れさま!!!】
【ボコせて大満足。ドンマイやで】
「この企画、またやりたい〜。もっと練習して出直したい!」
【がんばれ!!!ファイト】
【待ってる!!!!!】
【またボコしたい】
「じゃあ閉じま〜す。おつゆい。」
【声が疲れてるwおつゆい〜〜〜〜^】
【おつゆい〜〜!!】
【おつゆい。】
【おつゆい!!】
【おつゆいーーー!】
配信が切れたことを確認してから、僕はベットにダイブする。
「はぁ〜〜〜〜〜練習したのに〜〜〜」
この日のために、結構練習してきたつもりだったが、結果リスナーさんに恥を晒す結果となってしまった。
僕が呻き声を上げながらベッドの上で転げ回っていたら、スマホの通知音が鳴った。確認すると、同期のノアさんからの連絡だった。
『配信お疲れ様。見てたよ。もしマラオカート練習したいなら、私と一緒にやらない?』
と連絡が来ていた。練習はするつもりだったし、一人でやるのも味気なかったので速攻で許諾する。
『見ててくれたんですね!ありがとうございます。マラオカート、ぜひ一緒にやりましょう!』
同期の中も深まるしでまさにウィンウィンだ。
『ん。今週の土曜とかどう?』
『すいません!土曜日はひるねとのコラボがあるので、日曜日はどうですか!』
『わかった。日曜に一緒に練習しよう。どうせならあの泥棒猫みたいに私たちも配信しよう。』
『え!?』
突然コラボ配信が決まりそうになって驚く。今週末に二つ連続でコラボなんて、僕の心臓が持つかわからないぞ。けど、いつまでも退嬰的な姿勢はどうなんだと思い、コラボ配信を承知した。
『わかりました。今週の日曜日、マラオカート練習配信をしましょう。コラボしてくれて光栄です。』
『ん。同期なんだから当たり前。あと、いつからひるねなんて呼び捨てで呼び合う関係に?』
『つい最近です。どうかしましたか?』
『いや。なんでもない。コラボ配信、楽しみにしてて。』
『?わかりました。元から楽しみですよ!』
『嬉しいこと言ってくれるじゃん。』
唐突に今週末がコラボ配信で埋まってしまったことに混乱しつつ、僕は確かに幸せを感じていた。
同期と一緒にゲームをする週末、最高すぎる。友達と遊ぶことを想像するだけで、こんなに幸せになれるんだ。
そんなことを考えながら、僕は眠りについたのだった。
配信回は長くなっちゃいますね。
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