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わからない心
少女は涙を拭うこともなく、続ける。
声に、怒りの棘が混じり始める。
「私は人形の腕と足を切り刻んで遊んでいたの……!まだ、首は切ってはいなかったのに……!それなのに、マリーが……マリーが私の遊びの邪魔をした……!」
『何か』は、その言葉を聞く。
しかし、そこに何も感じ取れない。
ただただ、少女の言葉だけが耳に残る。
少女の声はさらに熱を帯びる。
「ママを切り刻んだ時もそう……!パパは何も私のことを理解してくれなかった……!あれが一番、ママが綺麗になる方法だったのに……!」
『何か』の思考が、わずかに軋む。
――母親も、手にかけた?
それだけだ。
それ以上の理解は、追いつかない。
少女の涙が、ぴたりと止まる。
そこに残ったのは、純粋な怒りだけ。
「皆の頭がおかしいの。だから、私はここに来たの。ここにいる『何か』なら、私のことをわかってくれると思ったの……!」
『何か』は、大きく息を吐く。
ゆっくりと、心を整理する。
そして、静かに口を開く。
「違う。僕にもわからない。君は人間じゃない」
自分でも驚くような穏やかな声が出た。




