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森の奥の何か  作者: 星狼


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3/7

輝く瞳の涙

少女は続ける。

声はまだ震えていて、涙が頰を伝う。


「マリーちゃんが悪いの。私のお人形を取ったの」


『何か』は静かに頷く。

優しく、穏やかに。


「うん。お人形を取るのはダメだね。それはマリーちゃんが悪いね」


少女の目から、涙が次々と零れ落ちる。

一度溢れた感情は、もう止まらない。


「そうだよね……マリーが悪いよね…… 私、悪くないよね……?」


『何か』は繰り返す。

潰れた瞳に、変わらぬ優しさを宿して。


「うん。それはマリーちゃんが悪いよ。勝手に人形を取るのはダメだ」


少女は泣きながら、唇を強く噛む。

そして、ぽつりと、しかしはっきりと零す。


「だから、私、マリーの耳を噛み千切ってやったの」


『何か』の思考が、一瞬、止まる。


少女は続ける。

彼女の声に、かすかな強さが混じり始める。


「マリーの耳を噛み千切ったら、ショーンがやって来たの…… マリーが悪いのに、邪魔したの……だから、私、ショーンの目を潰してやった……!」


風に揺れる葉の音だけが、鮮やかに聞こえる。

『何か』は、それ以外の音を捉えられなくなる。

目の前の少女の発している言葉がよくわからない。


だが、少女の言葉は止まらない。


「倒れたショーンの頭に、私、花瓶を叩きつけてやったの。ショーンの頭から、赤い花が咲いたの。凄く綺麗だった……!」


少女の瞳が、輝き始める。

涙の向こうで、純粋な喜びのように。


『何か』は想像する。

それは、綺麗ではない。

血と肉片と、崩れた骨の破片。


「周りの皆は泣いてた。綺麗な花なのに」


少女は淡々と続ける。


『何か』は思う。

そうだ。自分の想像の中でも、皆、泣いている。

それなのに、少女の瞳は、ただ輝いている。

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