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再生

 神は死んだ。私の神は異教徒たちの凶刃に倒れたのだ。

 私は一人部室のソファーに座る。あのデスクは、あの椅子は彼女のために取っておかなければならない。それとも、彼女が戻った時に凍えないよう、温めておくべきだろうか?

 星の王子さまを読んでみた。王子さまは体を捨てて星に帰ったらしい。朔夜は星になってしまったが。沈む心のままページをめくると、聞き覚のあるシーンにたどり着いた。今でも彼女の声が私の心を蝕んでいるように、容易にあの場面を思い出せる。

『夜になったら星を眺めてね。ぼくの星はとても小さいから、どこにあるか教えてあげるわけにはいかない。だけどそのほうがいい。僕の星は……星のうちのどれか一つだということだから。それできみは星全部を眺めるのが好きになる。星がみんな友達になるよ』

『君が夜、空を見上げると、あの星の一つにぼくが住んでるんだから、その星の中の一つでぼくが笑ってるんだから、きみにとっては全部の星が笑ってるようなものだ』

 ページが零れ落ちた二つの雫で、濡れている。

 「朔夜先輩、この曲なんでしたっけ?」

いつも通り本を読んでいると朔夜はいつも通り音楽を流し始めた。雨が跳ねるようなリズムのピアノはどこか悲しい表情をしていた。

「ドビュッシーの『月の光』よ。彼の音楽は、音色は曖昧で、だからこそ詩的で…この儚さこそドビュッシーの魅力だと思わなくって?」

彼女は微笑みながら蓄音機を撫でる。

 私も、彼女の姿に重ね合わせて蓄音機を撫でる。私の孤独に寄り添ってくれるのは、彼女の残滓だ。

「使い方、聞いておけばよかったな…」

そう呟いたとき、静かにドアが開く。

「でしたら、今から教えて差し上げますわ」

教室から入ってきたのは…いや、まさか。涙をぬぐい、もう一度しっかりと確認する。化粧っ気のない雪のような素肌。桃色の薄い唇。オニキスのような黒く、大きな瞳。風に揺れる長い髪。

 けれど、何かが違う。決定的に、何かが…

 一歩ずつ近づいてくる彼女からは、私の好きなサンダルウッドと、なにかが重なっている。それはきっと、ホワイトムスクの臭いだろう。

 私のお気に入り作品です。正直今後この作品よりも好きになれる作品が書ける気がしません。

 この作品は初めて人に見せるために書いた小説なので前作のビルツタに比べるとはるかに読みやすくなっているように思います。そこを意識しすぎて後半ビビるぐらい短くなっていったので取捨選択が上手くできていないんじゃないか、とも思います。

 私の処女作…ではないのですが、人に見せる用、として考えると実質処女作です。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。途中で離脱した方も、このメッセージは読めていないと思いますが、感謝を伝えます。

 最後に、これだけ言わせてください。この終わり方めっちゃ好き。

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