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燐火

演劇部だったんですけど祷夜が部活に居たら確実に妬んでただろうな。私は弱い人間です。

 夏休みが終わり、学校が始まる初日、私は体調を崩し三日ほど休むことになった。そして体調が治り学校に向かった矢先、メールが一通届いていた。

「休校のお知らせ」

 どうやら学校で死人が出て、一週間ほど休まなければならないようだ。せっかく朔夜に会えると思って楽しみにしていたのだが、残念だ。

 一週間が明けた。私は鏡の前で身なりを整えた。長い夏休みの間、文芸部は当然部活がなく、私自身、美緒以外に友達と言える存在はいなかったため誰にも会っていなかった。当然、身だしなみが終わり散らかしていたので、遅刻を承知で、朔夜の横にいても恥ずかしくないよう、慣れないメイクまで行った。そういえば、あのブードゥー人形どうしたんだっけ。なんとなくカバンの中を探すと、ピンク色のブードゥーは首からちぎれていた。

 学校は重い空気に満ちていた。なんでも夏休み前の宣言により、祷夜は学校に来ていないそうだ。演劇部の地区大会も、台無しになったらしい。確かに、ファンクラブは鳴りを静めていた。いや、鳴りを静めていた、というより()()()()()()()。カウンセラーに呼ばれた前の席の女子が戻ってきた。次は、私だ。

 一週間前、夏休み明け。ファンクラブは憤っていた。朔夜の宣言により祷夜のマスカレードを見ることはかなわぬ夢になった。なにより、毎日学校にいる意味、生きる意味を剝奪されたのだから。彼女たちの信じる神は消えた。彼女たちが愛していた、もう一人の神によって。信徒の、人間の刃は神には届きえぬもの、と信じていた。それは彼女たちも同じだった。届きえぬ凶刃が、確かに届いたのだ。それは神が、神ではなく、一人の文学少女だったからに他ならない。

 神は死んだ。


神は死んだ(物理)。

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