贖罪
ガチ短い。
教室から出る晴香の顔は涙をこらえているように見えた。あの表情が出るのは、文芸部が好きだからなのだろう。彼女は私たちを裏切ってなどいない。けれど、それがわかるのは私ただ一人だけ。同志たちは、信奉する神の幼馴染に従い静かに晴香を見送った。
家に帰り、沈んだ心で窓から月を眺める。お気に入りのぬいぐるみを膝に抱き、化粧を落とそうと鏡を用意する。目元にはアイシャドウがにじんでいた。
私の家には誰もいない。孤独感が私を襲う。誰かを傷つけても、誰も慰めてはくれない。誰かに唆されても、誰も警告してくれない。慰めてくれる友人は、警告してくれる友人は、私が傷つけてしまったのだから。彼女に謝る言葉も出ては来ない。旧倉庫では私を許してくれた。けれど、その直後私は祷夜に外に連れ出され、そのまま授業をさぼりデートを楽しんでしまった。私が彼女に惚れることがなければ、あるいは、私が晴香をもっと友人として愛していればこんなことにはならなかったのだろう。
私は、同調圧力に負ける弱い人間だ。ファンクラブを今から抜けて晴香に寄り添う道を選べば、私は裏切り者として白い目で見られるだろう。今のまま晴香の敵としてファンクラブに加入していれば、今日の放課後の件で私は一気に昇進することになるだろう。晴香の居場所を伝えたのは私なのだから。だからこそ、その道を選べば私はもう友人には戻れない。
私は、そのどちらも選べない。晴香の味方たるも、敵たるも。秤を用意し、どちらが大事か比べてみる。双方の重さに負け、秤は砕けた。
けどここが一番好き。前半はさぁ、あんなに元気っ子してた美緒ちゃんがさ、自分の行動を悔やんで。自分自身で選択できない弱さに打ちひしがれる。ここを1万文字使えるぐらい表現できない自分が悔しいです。




