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聖女の愛は透けて突き刺さる  作者: 宇和マチカ


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3/8

英雄と王冠の飾り

お読み頂き有難う御座います。

上にも下にも突っかかる系パワハラ男が出てまいりますね。

 私の名前か? 私はヴォルグ・グイル。グイル子爵家の一子だ。

 我がグイル家は元は準男爵で、四男だったが、兄達は夭折。だが、内乱での我が功により父が子爵位を賜った。

 もっと高位を私自身に授けて頂くべきだとは思ったが、父祖の誉れとなるならば……まあ、仕方ないな。いずれもっと上に行くのだから、過程としてはまあ我慢しよう。


 私自身の功績は……まあ、有名だろうが話してやってもいい。

 知っての通り、我が国は群島だ。それぞれの領地を治めているのは、国の大半を占める下級貴族。

 単なる纏め役に過ぎない王は、我らが豊かになるよう予算を汲むべきだろう。個人の贅沢など以ての外。王として働くのに、華美など要らない。


 百年程はキチンと、我らへの下へ意向と機嫌を伺いに来ていたと聞いている。

 無能に王冠を与えてやったのだから、当然だ。それが履行されないから内乱となった。

 私のような相応しい者が上へ行く。単純な話だろう。仕方ない。


 多少田畑は荒れて町は焼けたが、理想の為にはそういうものだろう。民草が実を粉にして働けばいいのだ。

 まあいい。


 そう言えば、先日無礼な寸足らず女が来たな。

 私はああいう賢しげな女が苦手なんだ。

 欲を解消する相手、としてだけならいいが、けたたましくて嫌になる。知恵もない分際でな。

 しかし、平民女は汚らしいし、貴族女は金が掛かる。勇敢で漢らしい私に相応しい妻は何処にいるのだ、と悲嘆に暮れた時もあったな。


 だがまあ、リン様は素晴らしい。

 手足は短いし、碌な手入れもしていない見目だったが、性根は修道女らしく弁えていたしな。

 庶子とはいえ、王女らしく平民よりもよく働いていて、私に敬意をよく払う。

 つい先日まで王冠の飾りだったボンクラ共と違いは明らかだった。

 私の全てに感動し、私を讃える。リン様は私の理想的な妻となるべき方だったんだ。

 あれなら多少磨くだけで、誰よりも輝けるだろう。いずれ私の被る王冠の飾りとして、隣りにいるのに相応しい。


 彼女の言葉は、態度は実に身に沁みた。

 他の神職共の甘っちょろい話よりも、私の求めるものを分かっていた。


 神によって作られた愛は見えない。だから、唯一を見つけた時に胸に刺さるのだと。

 まさしくリン様と私は、分かたれた愛を持つ者同士。選ばれし者だ。


 ただ、可哀想に彼女は常に怯えていた。

 何に? だと。

 あのだらしない王国産の貴族女に、決まっているだろう。

 国から堕落の烙印を捺されながらも、のうのうと修道院の庇護に縋る寄生虫のような女。


 修道院にいた割に、肉の付いた体をしやがって。

 リン様に世話されていたらしいから、無理矢理哀れを誘っていたのだろう。

 ああいう女は本当に良くない。物欲しげな目を、私の鍛えた体に向けていたからな。


 リン様に嫉妬していたのだろう。

 あのような清らかな方と、あの女の価値などガラクタと宝石よりも差があったからな。

 追放の理由? 

 国でも、あの体で婚約者や他の男を操っていたのだろう。決まっている。


 それにしても、そなた。中々いい体をしているな。そのようなつまらん話よりも、我が軍に入れ。

 きっと仲良くやっていける。

 リン様を失って、寂しいからな。下賤な生まれでも、男なら兵隊として歓迎だ。


 ああ、リン様。清らかな私だけの女。

 あの女がしたり顔で手を下したに違いない。早く始末しなければ……。

パワハラ男俺様風味ですね。顔はいい方ではありますが。

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