43 一時の安堵と後悔(他者視点)
彼と彼女が再会して、2人が話せるように取り持った。
2人の間で話されている内容は気になったけど、できれば2人で話した方がいいと思っていたので、自身は離れていた。
遠目から見れば、2人は終始和やかそうだった。
こっちは面倒な対応をしていたので、その和やかさが少し羨ましい。
祝賀会でも二次会でも声をかけに行ったタイミングで、彼が彼女の手を握っていた。
彼女は通常運転で、彼は嬉しそうだった。
この2人の関係はいつも不思議だな。
彼女は翌日用事があるとのことで、早めに帰宅した。
彼女が去り際に珍しく「祈らない」ということを口にしたのは何だったのか?
でも彼も、穏やかな嬉しそうな顔でそれでいいと答えていたので、特に問題ないだろう。
彼女が去った後の彼は、すっきりしたような満たされたような表情をしていた。
彼女と会わせたのはやっぱり正解だった。
「ありがとう。」
彼が穏やかにお礼を言ってくれて、こっちも嬉しくなった。
彼と彼女の間のやり取りは気になるけど、今回の様子なら、また今度集まった時に彼女もいる場で聞いてみればいい。
とりあえず、彼は吹っ切れたように明るく笑っている。
昔の彼のようで、本当に嬉しかった。
また集まろうと皆で楽しく話してお開きになった。
彼も明るく笑っていた。
今までは彼と男性陣だけとか、彼女と何人かという集まりはあったけど、今度からはまた彼と彼女も揃って皆で集まることができると嬉しく思っていた。
後悔でしかないけど、この日何の話をしたのか、聞くべきだった。
あんなことになるなら、本当にこの日に聞くべきだったんだ。
彼女は、何を知っていようと相手が望まないなら決して語らない。
彼に聞けるのは、恐らく自分だけだった。
また昔のように彼と彼女と3人で話したりできると喜んでいた自分は、完全に蚊帳の外だった。
今思い返せば、彼女は次を約束しなかった。
彼も次を口にしなかった。
酔っていたとは言え、それに違和感を感じるべきだったのだ。