33 彼女の魅力
彼女は自身を含めた同級生の前まで来ると、穏やかに微笑みながら口にした。
「ごきげんよう。」
同級生のほとんどの男性陣は、彼女のその姿に魅入っていた。
返答がないことに彼女は昔と同じように首を傾げた後、言葉を紡ぐ。
「お久しぶりの方が良かったかな。もしくは馬子にも衣装で反応に困っているのだろうか?」
逆だ!逆!!
恐らく男性陣の心の声は1つになった。
女性陣で彼女をよく思っていない同級生が口火を切った。
「うわぁ…赤が似合うなんて思ってるの?地味な顔してるのに、恥ずかしくないの?赤い着物なんて独創性の欠片もない。私みたいに自分に似合う着物を着なきゃ!そうだね、〇〇は黒なんかが似合うんじゃない?地味で喪服みたいでぴったり、ぷぷっ。」
性格悪いのも変わらないな、本当に。
お前の着物、全然似合ってないし、紫色が何か毒々しいから。
彼女と比較するのも烏滸がましい。
「親の提示した予算内で、一番しっくりくる着物がこれだったんだよね。母親はショッキングピンク勧めてきたけど、どう考えても合わなくて。しっくりくるって自分で納得してるから別に良いかな。あとは好みの問題だろうし。」
「いや、ショッキングピンクは色々ないわ…」
彼女の母親のセンスに脱力し、全員が気を取り直し始めた。
同級生の男性陣が彼女を褒め出す。
「というかこの場で誰よりも振袖似合ってるよ。」
「うん…大和撫子って多分これって思った。」
「良いもの見た。…ところで、お前の着物、何か毒々しいな。」
自身が何か口にする前に、どんどん男性陣が褒めていく。
彼女は世辞でも嬉しいよと軽く流している。
ちょっと悔しい…彼女になんて言ったら良いのか分からない。
あと、同じこと思ってる奴いたと思っていたら、彼女がこちらを向いて穏やかな笑顔で口にした。
「久しぶり。」
「…ひ、久しぶり。」
「元気そうだね。」
「うん…あの…き、綺麗だ…」
自身の言葉に彼女は少し目を瞬かせていた。
そして少し蠱惑的な笑みを浮かべて、「ふふっ、ありがとう」と言った。
自身の頭はそこで一度完全に停止した。




