32 彼女との再会
仲の良い同級生から、成人式について来るかどうかの確認の連絡が来た。
彼女が来るか聞いたら、来るとのことだったので、それなら行くと返した。
成人式当日は、スーツ姿で参加した。
1人だけ袴姿がいたけど、男性の同級生のほとんどはスーツ姿だ。
女性の同級生はほとんどが振り袖だった。
得意気に似合うかとか聞いてくる女性陣を、「はいはい似合うよー」と適当に流す男性陣という構図だった。
相変わらず同級生同士で、異性として見てないらしい。
彼女はまだ来ておらず、少し早めに来ることの方が多いのにと思うと、「父親が送ってくれるから丁度くらいになると思う」と連絡が来ているそうだった。
他愛もない話をしていると、入り口付近から少しざわめきが聞こえた。
直感的に彼女だと思って、すぐさまその方向を見た。
振袖姿の彼女が、こちらに向かってきていた。
完成された存在感とでも言うのだろうか。
化粧はそれ程濃くないものの、それぞれのパーツに合わせて縁取っており、清楚さを際立たせている。
振袖は、真紅がベースになっており、小物は単純な同系色ではなく、それぞれの色を強調しつつもまとまった色合いで、着物という魅力が遺憾無く発揮されている。
結い上げた髪は、艷やかで、彼女の雰囲気にとても合っていて、そこに添えられた髪飾りは着物に合わせた花の簪で鮮やかに咲き誇っている。
自身は一瞬にして目を奪われ、言葉が出ない。
先程まで他愛もない話をして、童心に返っていた他の男性陣も皆、彼女の姿に惹きつけられ、言葉を発せずにいる。
他の女性陣にも赤い着物を着ている人は複数いたが、彼女を見てしまえば、急拵えの姿に見えた。
他学校の出身であろう何人かの女性は、彼女に向けて感嘆しており、何人かの男性は、同じように彼女に目を奪われていた。
決して派手さや華やかさのような、見た目の美醜だけではない。
控えめで穏やかな、それでいて凛とした存在感に圧倒される。
完成された彼女という1人の人間の美しさがそこにあった。
綺麗だ…。




