21 修学旅行の終わり
修学旅行も最終日になった。
最終日はクラス別の自由時間の日で、上野近辺を回る。
先生も最終日はと、引率の先生が例の子と回るそうで、彼女もやっと自由時間だった。
彼女は話していた通り、上野動物園に行った。
何となく男女分かれて行動になったが、彼女以外の女子は買い物をしたいと別行動になり、自身も他の男子と一緒に上野動物園には行ったものの、騒がしい奴がいるし、彼女も近くにいないので楽しいとも感じず、ほとんど記憶にない。
上野動物園のショップ付近で彼女とすれ違ったが、彼女はもう見終わったので、他の女子が行っているエリア付近に向かって一応合流することにしていると言っていた。
そしてそのまま彼女は行ってしまった。
その後お土産を買うエリアを散策していたが、押しの強い土産物屋や人混みに辟易して集合場所に先に戻ると離脱してしまった。
集合場所には1時間程早く戻ってしまい、座って待つことにした。
幸い気温は暑くもなく寒くもない適温だったから、暇なだけで待つことは苦ではない。
時間になるまで、彼女と一緒に回るのが難しいならせめて話したかった。
そんなことを、ぼんやりと考えていた。
「あれ?」
声がした方を見ると彼女がいた。
まだ集合時間まで30分はある。
彼女は何故こんな早く来たのかとぐるぐるしていた。
「見たいものがなくて集合場所付近で適当に時間潰そうと思ったんだけど、まさか他に誰かいると思わなくて。」
自分もそうだと話しながら、彼女と修学旅行の話をした。
押しの強い土産物屋は彼女も買ったと見せてくれた。
彼女がいると、つまらないと思ったことも途端に色を帯びていく。
くだらないと思っただけの話も楽しい視点を見つけて、楽しい思い出になる。
先生が来て早すぎないかと苦笑された。
先生が来てからは、彼女は先生と自身を混ぜながら会話をしていた。
彼女がいればそれだけで自身の人生は色づいていく。
彼女を通して様々なことに価値や意味を見出していく。
自身の人生に彼女は必要だ。




