20 パレードの思い出
パレードまでしばらく時間があったから、彼女と写真を撮りたかった。
できれば彼女と一緒に写っている写真が撮りたい。
彼女は相変わらず、例の子のマシンガントークを受け流しながら、穏やかに応対している。
情けないけれど、話しかけられない。
わざわざ隣になるように、取り計らってくれた同級生も何とも言えない顔をしている。
ふと、彼女がこちらを向いて、口にした。
「ひたすらに待っているのも何だし、写真撮らない?」
例の子にもうまく言って誘導している。
皆でと、彼女とも写真を撮った、嬉しい。
パレード待ちの間、交代でお土産を見に行ったりと気分転換していたけれど、彼女は例の子の関係であまり遠くには行けない。
彼女の姿が見えないと不穏になってしまうそうだ。
それもひどいと思っていたけれど、彼女は特に気にせず、その時間、芝生にいる鴨を見て、追いかけていた。
鴨も彼女を怖がらずに、楽しく追いかけっこしているようで、ほのぼのした。
そうこうしているうちに、パレードが始まった。
夜のパレードなので辺りは薄暗い。
楽しげな音楽と共に、様々な色のランプをつけたキャストやキャラクターの乗った乗り物がやってきた。
皆興奮して、歓声を上げていて、テンションが上がっている。
騒がしいし、ランプも眩しい。
あまり自身は興味がなかったので、彼女を見た。
彼女は特に興奮している様子はなかったが、じっと見ていた。
「キラキラ輝いて、きれいで、にぎやかだね。」
そんなことをポツリと口にした。
彼女を見て、言葉を聞いた後のパレードは、少し綺麗に見えた。
パレードの光に照らされている穏やかな彼女の横顔が綺麗だと思った。
ふと彼女が真上を見たので、自身も顔を上げると、夜空に星も控えめに輝いていた。
「パレードの光もきれいだけど、星の光もきれいだね。」
彼女の目に見える景色は、きっと良い所を見ていて綺麗なんだろう。
きっと綺麗なものを求めているから、君と同じ景色を見て、綺麗な君といたいと思ったんだ。