18 修学旅行に行こう
中学校の修学旅行は東京だった。
女子はディズニーランドや渋谷や原宿で服を買いたいという話で盛り上がっている。
彼女は、上野動物園に行きたいと呟いていた。
他はと聞かれると首を捻っている。
多分そこまで興味がないんだろう。
班は一応同じだったけど、ほぼ違う班だった。
ちょっと難しい子がいて、その子の対応が彼女は上手いのと、その子も彼女に懐いているからと、その子が不穏にならないスケジュールと彼女とその子と先生で分かれて動けるように固めたそうだ。
折角の修学旅行なのにと思ったが、彼女は嫌な顔1つしていない。
最終日はクラス別に自由行動だったけど、エリアが決められている。
上野近辺だけだなんてとブーイングの嵐だけど、決定事項らしい。
行きの新幹線も彼女と離れていた。
新幹線も例の子と彼女は組んでいるらしい。
向こうでも新幹線でもなんて、ほとんど彼女は楽しめないじゃないか。
彼女と同級生がカメラを構えて何かやっているので聞いたところ、「お互い如何に写真に映らないかという勝負をしている」らしい。
この2人はどっちも頭が良いのに何故こういう意味があるか分からないことをするんだろうか?
彼女とそんな遊びをしているのは羨ましいけれど。
フィルムやデータ容量の無駄なのではないのかな?
彼女に勝負の状況を聞くと、「ちゃんと撮ってもブレる。カメラも運動神経必要なのかな?」と首を傾げていた。
アホらしいことを真剣に考えている姿が可愛らしくて、心の中で悶絶していた。
彼女とできる限り話したりできるようにしよう。
一緒に写真を撮ったり、同じものを見て、思い出を作ろう。
そんなことを思って、少し張り切っていた。
そう思っていたけど、難しい子は彼女にべったりで話す合間が全然ない。
先生もその子が彼女にべったりしているうちにと色々楽しんでいる。
先生が楽になる為の班じゃないかと不満しかなかった。