13 中学校への進学と変化
小学校が卒業になり、中学校へ入学した。
学区の関係でほぼ人間関係もそのまま持ち上がりだった。
彼女のいじめを主導した転校生ももちろん1つ上の学年にいたが、転校生は彼女と何食わぬ顔で話している。
イラついた。
彼女は気にせずに応対している。
そんな醜い人間を相手にしなくていい、そんな汚いものは君に似合わない、そんな言葉が口をついて出そうだった。
でも、そんな人間よりも浅ましい下心で彼女に助けを求めてもらえないかと淡い期待をしていた自身はもっと醜い。
言ってしまったら、彼女のそばにいることができなくなってしまう。
彼女は相変わらず勉強ができるからか、先生からまた優等生扱いされていた。
勉強ができる別の同級生とよく話していた。
そして、彼女に嫌味を言ってくる人間であろうと勉強で質問されれば、嫌な顔1つせずに快く説明していた。
丁度彼女は中学校に入る前後で声変わりがあったらしく、子どもらしい高い声から、女性にしては低めな落ち着いた声になっていた。
彼女の穏やかな佇まいにも穏やかでゆったりとした口調にもとても似合ってる。
彼女は高い声の時から、自分の耳には声変わり後の声くらいに聞こえていたらしい。
確かに声変わり前の彼女の歌は、何というか音程が安定していなかったし、音程に自信がないような戸惑っている声だった。
声変わりした後の彼女の歌は、安定した優しい歌声で、そんな歌声もまた好きになった。
中学校の制服を着た時に、否が応でも認識した。
男女が明確になり、自身が彼女に会いたいと頻繁に呼べば、彼女は男好きな女性として認識されてしまう。
制服姿で彼女の手を握れば、男女の関係だと注視されてしまうから、今まで通りの関係は難しいのだと。
恐らく小学校終わり頃でも、弟という理由付けをしていたことと、私服がパンツスタイルだったことで、ギリギリ見過ごされていただけだ。
中学校に上がった時点で、彼女は自身にとって好きな女性になっていた。
本当は心だけじゃなく、全てがほしいと思うようになっていた。