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10 いじめと波紋

小学校も折り返しになった。

季節外れの転校生が1つ上の学年に来ていた。

いじめを受けていたらしいと話を聞いたが、彼女は普段通りに話しかけていた。


少し慣れてくると、いじめに遭っていた転校生は鬱憤を他者で晴らそうとしているのか、周りを扇動し始めた。

大人しくてオドオドしている男の子を見て、最初は無視するターゲットにしようと思ったらしい。

彼女にも言うことを聞かせようと、転校生は声をかけたようだった。

彼女は不快だとでも言うように、嘲笑うような表情で口にした。


「くだらないね。誰かを傷つける為に無視しよう?何の意味も価値も見出せないよ。しかも皆でそんなくだらないことやろうだなんて…ダサいなぁ。」


転校生はプライドを傷つけられたのか憤慨し、彼女をターゲットにすると言った。

元々ターゲットにされそうだった男の子は、明らかにホッとしていたのに、転校生に誘われると、自分がターゲットにならないようにと一も二もなく頷いた。

彼女の率直な正しい言葉に不満を持っていた人間は転校生についた。

周りは火の粉を浴びないようにと目を逸らして、彼女の味方をしない。

自身は…ターゲットにされるのが怖くて、何も言えなかった。


翌日から彼女への無視が始まった。

彼女はいつも通り挨拶するけれど、皆返さない。

彼女は特に何も言わず、穏やかに微笑んでいた。


先生もその状況に気付いたが、何もしない。

単に面倒くさかったんだと思っている。

彼女への無視と、ヒソヒソとした悪口…彼女は耳がいいから、きっと全て聞こえている。

でも彼女も何も言わないし、興味もなさそうだった。


ある日、転校生が自身と彼女が仲が良いと聞いて、自分につくようにと言ってきた。

つまりいじめに加担しろという話だった。

嫌だなと思いつつ、自身がターゲットにされるかもしれないという恐怖に、ただ首を縦に振ってしまった。

彼女の好きなものを聞かれ、彼女が面白いから好きと言っていたある男子の名前を教えた。

転校生は歪んだ笑顔で、彼女を失恋させてやろうと笑った。


彼女が失恋?する訳がない…

彼女以外の人間はなんて醜いんだろうか。

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