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無気力勇者のスローライフ ~魔王?何それ?美味しいの?~  作者: Red/春日玲音


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無気力勇者と異世界??

「……はい、はい。わかりました。ではそういう事で、今後ともよろしくお願いします。」


「新見さん。お電話終わりました?」


電話が終わるのを待ちかねたようにやってくる後輩の女性、鮎川葉月。


昨日のイベントでも、アシスタントやモデルのフォローなどしてくれた娘だ。


ウチが主催するイベントは女性モデルを使う事が殆どなので、彼女みたいな子はとても重宝する。


それだけに、ご機嫌を損ねるわけにもいかないのだが。


「あぁ、何か用か?」


「あー、その言い方冷たいですねぇ。はい、これ昨日のまとめです。」


「ありがと……と言っても、俺一応明日迄休みもらってるんだけどなぁ。」


葬儀の後始末が残っているという事で明日まで休みを申請している。


実際、今日も実家によって、昨日の事を詫びた後、細々とした片づけを済ませてきたところだ。


ただ、どうしても今日中に電話連絡を入れないといけない案件が数件あったため、こうして事務所に顔を出しただけで、このまま帰るつもりだった。


「これの処理は、明後日出社してからでもいいか。他には?」


「違いますぅ。それの処理含めて、私に出来る事を確認したかったんですぅ。」


わかりやすいぐらい、ぷぅっと膨れる葉月。


計算してやってるのか、天然なのかわからないが、こういうあどけない可愛らしい仕草が彼女の人気に一役かっている。


「大体お父様が亡くなられたんでしょ?そういう時ぐらいゆっくりと休んでください。」


でないと、と彼女は続ける。


「でないと、私の時困るじゃないですかぁ。身内の葬儀の時にも仕事に出てくるようなブラックな事務所は困るんですっ。変な前例を作らないでくださいねっ。」


そう言いながら出口へ向かって俺の背中を押す。


扉をくぐるときにそっと耳元で、「淋しい様なら電話くださいね。慰めに行きますから」と囁いてくるのには少し参った。


揶揄わないで欲しい。本気にしたらどうする気なんだ?


俺はこういうのに免疫がないんだからさ。



「あ、お帰り~。早いんだね。」


「仕事じゃないからな……って言うかまだいたのか?」


「居るに決まってるじゃない、ひどいなぁ。」


どこから出したのか、制服姿にエプロンをしてお玉片手にぷんぷんと文句を言う唯。


どこからどう見ても幼な妻だ。


「あ、あぁ、ちょと着替えてくる。」


俺は平静さを保ちつつ、洗面所へ向かい、頭から水を被る。


……冷静になれ。相手は子供だ。手を出したら人生詰むぞ。


自覚はなかったが、制服にエプロンというのは俺のツボを直撃したらしい。


「マジでヤバいわ。」


今までそう言うシチュエーションがなかったこともあり、この動揺はちょっとやそっとでは収まらないようだった。


「シャワー浴びたの?」


「あぁ、汗かいたからな。それよりどうしたんだよそれ。」


「うん、駅のコインロッカーからとってきた。さすがに着の身着のままはイヤだし。」


どうやらボストンバックに詰め込んだ、家出セット一式は駅のコインロッカーに預けてあったらしい。

まぁ、よく考えれば、あんな格好のまま家出してくる奴なんかいないよな。

「って言うか、居座る気か?」


「うん」


「……保護してもらうのって110番だっけ?」


誠二がスマホを取り出そうとすると、唯が素早く取り上げる。


「キスしたくせにぃ!責任取るって言ったぁ。」


「言ってない。」


そう言い返すが、寝惚けて唯にキスをしてしまったという事実は揺るがないわけで……


「はぁ……とりあえずだ、家に連絡しろ。」


「ヤダ。」


「ヤダ、じゃない。このままだと俺が捕まる。」


「合意の上なのに?」


「言い方!合意でも、未成年はマズいのっ!って言うか、してないだろっ!」


「キスされたぁっ!それに私18だよ?この間誕生日来たから。結婚だって出来るもんっ!」


「……それでも高校生はマズいだろ?」


「……マズいのかなぁ?高校やめればOK?」


「そう言う問題じゃない。」


俺は頭を抱えたくなってきた。

なんか、別にどうでもいいじゃないか、と逃げ出したい衝動に駆られるが、何とかそれを抑える。


「いいか?大人だというのであればしっかりケジメ付けて責任ある行動をとるべきだし、子供だというなら、なおさら親のいう事を聞け。」


「むぅ!」


「むぅ、じゃない。……お前が、本当に本気でモデルになりたいと言う夢をかなえたいなら、まずは親を説得して見せろ。親の保護下にあるうちは何を言っても無駄なんだ。それが出来ないなら諦めて、成人して親の保護下から離れてからやるんだ。」


「もう、成人だもん。」


唯が膨れっ面で呟く。


法改正を受け、成人年齢が18歳まで引き下げられてから久しいが、選挙権はあるものの、酒タバコは認められておらず、また18歳の大半が高校生ということもあり、世間一般的には未成年と変わらぬ扱いを受けているのが現状だ。


「それじゃぁ……遅いんだよ。今でも遅いかもしれないのに。」


唯は膨れっ面のままそんなことをボソッと呟く。


「まぁ、お前の気持ちもわからんでもないが、どうせなら応援まで行かなくても、せめて反対しないぐらいの立場でいて欲しいだろ?親との喧嘩別れなんかアホのすることだ。」


「でもぉ……。」


「すぐにとは言わない。ただ、まずは連絡を入れて、無事であることを伝えろ。そして、親としっかり話すんだ。」


「でも……。」


「反対してるって事は、少なくとも唯の将来について真面目に向き合っているということだ。ちゃんと話し合え……居なくなってから後悔しても遅いんだからな。」


「うん…でも……」


「……不安だよなぁ。」


「うん……。」


「まぁ、俺の伝手でモデル事務所を紹介してやることは出来る。地方の小さなところだから仕事も地味なのが多いけどな。だけどちゃんとしっかりした安全な事務所だ。」


「ホントっ!嬉しいっ!!」


唯がぎゅと抱き着いてくる。


「俺の紹介だからと言って受かるわけじゃないぞ?」


「うん解ってる。」


「それに、ちゃんとしたところだからこそ、まだ学生のお前がモデルとして所属する場合、親の同意が必要になる。逆に言えば、そんなの必要ない、何ていう所は怪しいんだ。気づいたら借金まみれで風呂に沈められるぞ?」


「え?お風呂?」


「……わからんかったらいい。とにかくだ、モデルになりたいなら、ちゃんと親を説得しろってことだ。」


「う……ん……。」


「期限は夏休み終わるまでだな。」


「何で?」


「……夏休み終わったら学校があるだろ?」


「……学校辞めようかなぁ。」


「……それも含めて親と話すんだな。」


「…………とりあえずご飯にしよ?」


話題を逸らすかのように立ち上がり、出来上がっている料理を並べる唯。


その後、二人は特に会話らしい会話もなく、黙々と食事をするのだった。



「ねぇ。」

風呂から上がってキッチンで飲み物をあさっていると、パジャマに着替え、夕べと同じように枕を抱えた唯が、恐る恐る声をかけてくる。

「なんだ?」

「今夜も一緒に寝てくれないかなぁ?」

「あのなぁ。」

「大丈夫、襲わないからっ!」

「逆だ逆!俺が襲ったらどうするんだ。」

「うっ……いいよ襲っても。覚悟はしてるしぃ。」

「あのなぁ、そういう事を震えながら言われても困るんだっての。」

「お願い、襲ってもいいから今日だけっ!一人でいると、真っ暗なところに落ちていきそうで……。」

「だからなぁ……。」

「お願い……明日親に電話するから……その勇気をください……。」

真剣な目で見つめてくる唯。

そんな風に言われたら断れないだろうが。

「はぁ……また今朝みたいに寝惚けて抱きしめるかもしれないぞ?」

「うん、いいよ。エッチはちょっと怖いけど、ギュってされるのは好き。」

「怖いならいきがってんじゃねぇよ。」

俺は、唯のおでこをこつんと弾いてから、寝室へ向かう。


まぁ、今日もなんだか疲れているから、横になればすぐ寝れるだろう。

寝てしまえば、隣に唯がいようがいまいが関係ない。


「おやすみ……ありがと」

背中越しにそんな呟きが聞こえた気がしたが、すでに意識がもうろうとしていた俺はそれが誰の声だか分らなかった。



「……ですか?……夫ですか?」


ん?誰だ?……唯か?


「大丈夫ですか?しっかりしてくださいっ!」


目を開けると、俺の顔を覗き込んでいる少女と目が合う。

クリっとした少し大きめの榛色の瞳。

肩の下まである栗色の髪は無造作に一つに束ねてある。

少し古臭いカントリーガール風の服装ではあるが、容姿が整っていることは一目でわかる。


「あぁ、よかった。目を覚まされたのですね。」


俺が目を開けたことで少女は大げさなぐらい喜んでいる。


「あー、うん。いったい、これは……。」


「あ、動いちゃいけません。大怪我をなされていたのですから。……今おじいちゃんを呼んできますね。」


そう言って少女は外へ出て行く。


俺は一人取り残された部屋の中を見回す。


古臭いベッドに、アンティークな机。そして暖炉がある。


間違っても1DKの俺の部屋ではない。

確か、俺は唯と一緒のベッドで寝て……。


「夢か。」


俺はそう納得する。


「しかし、どういうシチュエーションなんだ?」


俺はベッドから半身を起こし、身体を調べる。


上半身は脱がされており、大げさなぐらいに包帯が巻かれている。その包帯には少し血がにじんでいて、意識すれば鈍い痛みが走るが、動けないというほどのものではない。

夢だというのに痛みを感じるというのもおかしな話だが。


「おぅ、お客人、もう起きても大丈夫なのかな?」


その時、扉が開き、先程の少女と一緒に初老の男性が入ってくる。


「あ、あぁ、なんか世話をかけたみたいだが、何が何やら……。」


「お客人は森で倒れておったのじゃよ。すぐ横にオウルベアの遺体もあったのでのう、お主が倒したんじゃろ?」


「オウルベア……あのクマか?」


男性の言葉に、先日の夢の光景が不意に浮かび上がる。


「そうじゃ。偶々森に薬草を採りに行っていた孫娘のシアがお主を見つけてのう。お主は運がよかったのじゃ。シアが見つけたのも、偶々ポーションを持っていたのも、すべてはユースティア様のお導きじゃて。」


ニコニコ笑いながらそう言う初老の男性。


あの時の夢は、俺がクマを斬って倒したが、最後の反撃を受けて爪に切裂かれたところで終わってたはず……。


あの後、ここにいる少女……シアが俺を見つけ、手持ちのポーションで応急処置をした後助けを呼び、ここまで運ばれてきた……という設定か。


「あー、という事はシアちゃんが命の恩人ってわけか。ありがとな。」


「あ、いえ、当然のことをしただけですから。」


俺がお礼を言うと、なぜか頬を赤く染めて、照れるシア。


「……お客人。シアに色目を使わんで貰おうか?」


初老の男性が、シアの様子を見るなり、俺に近づいてきて小さな、しかしドスの利いた声で脅してくる。


「いや、別に色目なんか……。」


「あん?うちのシアが可愛くないと?」


「いや可愛いですよとっても。」


「誑かさんで貰おうか?」


「いや、だからな……どないせいっちゅうんじゃ。」


思わずおかしな関西弁が出るくらいには、男性の態度に困るのだった。



「セイジさぁぁん、飲んれますぅ?」


酒壺を片手にしなだれかかってくるシア。


「あー、飲んでる飲んでる。」


「ならいいのれすよぉ。」


そう言いながら壺の中身をコップに注ぎ、一気に飲み干すシア。


「ってか、シアちゃん、飲み過ぎじゃないか?」


すでに呂律も回ってなく、足元も及びつかないシアの身体を支えながら言う。


身体を支えるためにシアの身体に回した手の先が彼女の胸元にあたり、柔らかな感触を伝えてくる。


しかしこれは酔っ払いを介抱する代価だ、と割り切り、軽く揉みしだく。


その度に、「ぁんっ」と可愛らしくも色っぽい声を上げるのがいい……癖になりそうだ。


俺とシアの邪魔をしないように、と考えているのか、村の人々は遠巻きにしながら、時折、ちらちらと見てくるだけで、近づいてこようともしない。


シアの祖父である村長が、俺を睨みつけているが、周りの男連中がその身体を抑え宥めているため、結局俺の傍には酔っ払ったシア一人という状況になっている。


今夜は俺の歓迎会だと聞いたのだが聞き間違いだったのだろうか?


歓迎会というのであれば俺は主役であるはずで、本来であれば主役を放置するなんてことがあっていいはずがない。


「やっぱ、聞き間違いだな。オウルベアは珍しいって言っていたから、そのお祝いだろ。」


酔っぱらう前のシアに聞いたところ、大物が採れた時は、森の恵みに感謝をささげる宴を開くのがこの村の習わしらしい。


それで、オウルベアと、それを倒した英雄(俺のことだ)を歓迎して宴を開くから参加してほしいと言われたのが一刻ほど前の事。


助けてもらった恩もあるし……シアが俺に使ったポーションは一般に流通している低級ポーションではあるものの、この村ではかなり高価な物品らしい……と、村長のおじじが恩を着せるようにくどくどと言っていた……。

何より、今の状況を整理するための情報が欲しかったので、喜んで?参加したのだが……。


「情報を得るどころじゃねぇよなぁ。」


もみもみ「ァン」……もみもみ……「ぁっ、んっ」


ヤベッ、楽しい。


情報が欲しいのであれば、自分から声を掛けに行けばいいのだろうが、この状態のシアを置いて動くのははばかれる。

何より、見知らぬ人と普通に会話するなんて難行が俺に出来るわけがない。

出来るのであれば、コミュ障なんて不名誉な称号をつけられたりはしないのだ。


「あ、そろそろこのままって言うのもまずそうだよなぁ。」


俺は段々険しくなってくる視線に気づかない振りをしながら呟く。


シアが俺の膝の上に乗り、首に両手を回し、首や胸、ほっぺなどに、キスをし始めたのだ。


「キス魔かよ……お持ち帰りされても責任持たんぞ。」


そういいながら俺はそのままシアの身体の下に手を回しそのまま抱き上げる。

所謂お姫様抱っこというやつだ。


「きゃははっ、高い高い~。」


「暴れるなって、落ちるぞ。」


「ん~、落ちるのやぁ~。」


シアが両腕に力を入れギュッとしがみついてくる。


丁度顔にシアの膨らみが押し付けられる形になり、前が見えにくくなる。


足元に気を付け、よろけながらも、村の外れにあった小屋……俺が目覚めた場所だ……の中まで移動し、ベッドの上にシアを投げ捨てる。


「ん~、脱がせてぇ。」


「アホか、自分で脱げ。」


「けちぃ。」


シアはそう言いながら自分の上着に手をかけ、するすると脱いでいく。

形の良い豊満な胸がプルンと飛び出す。


上着に押さえつけられていたようで、その締め上げから解放された()()は服を着ている時より大きいのが分かる。


「ん~。キツイ~。」


シアはさらに下にまで手をかけ、無造作にポイっと投げ捨てる。


「ふぅ~、ゆったりぃ~。」


シアはそのまま気持ちよさそうに横になると、数秒もたたないうちに、すぅすぅと寝息を立て始める。


「あのなぁ……。」


俺は素っ裸のシアを見下ろす。

これって襲ってくれって言ってるようなものだよな。

しかし、ここで手を出すのは危険だ、と俺の本能が警鐘を鳴らす。


「しかし、唯と言いシアと言い、何で地雷っぽい女の子しか寄ってこないんだ?女難の相ってやつか?」


俺は上着を脱ぎ、肌着だけになるとシアの横に寝転がる。


「誘ってきたのはそっちなんだからな。」


俺はシアの身体を抱きしめ、その腕の中の柔らかな感触を楽しむ。

どうせ夢なんだし、これくらいはいいだろう。

しかし、思っていたより酔っていたみたいで、その先に進むこともなく意識が遠のいていった……。


ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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