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I am Aegis Mors 2  作者: アジフライ
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第18話【竜の領域】

前回、 清火は突如としてアメリカの攻略者協会本部に呼び出され、 国の運命が掛かった重大な次元迷宮の攻略作戦の協力を依頼された。

そして今、 清火はローナと共にアメリカへと降り立った……

「久しぶりの母国……あまり昔と変わりないのね……」

「そうか……ローナはアメリカ出身だったっけ」

協会からの迎えの車に乗っていた清火とローナは街の風景を楽しんでいた。

そしてしばらくして拳一が声を掛けた。

「モルス様、 到着しました」

「おぉ……うぇぇぇ! ? 」

拳一に言われて窓の外を見た清火は驚愕した。

そこには攻略者協会の本部と思しき高層ビルが建っており、 その高さは50階はあるように見えた。

すっご……日本の本部より大きい……流石先進国アメリカ……建物の規模も尋常じゃない……

清火は建物に圧倒されながらも車から降り、 拳一と共に協会本部へと入った。

「ローナ様は残念ながらこの先モルス様と同行することは許されておりませんので……我々が手配したホテルへご案内いたします」

「それは残念、 折角キョウカと観光でもしたかったのに」

「旅行に来たんじゃないんだから……」

にしても失敗だったなぁ……この先にローナを連れていけないのも考えておくべきだったか……

そしてローナは拳一の他に来ていた日本本部の職員と共にホテルへ向かっていった。

「……さぁ、 行きましょう……会長や攻略者の方々がお待ちです」

そう言われて清火は会長達が待つ部屋へと向かった。

「こちらです……」

「……」

部屋の扉の前まで来た時、 清火は凄まじい気配を肌で感じた。

……凄い……エンペラーさんや他のSランクの攻略者達とは比べ物にならないくらいの強い気配……でも……

ここで清火はある事が気になっていた。

「……私……英語無理なんですけど……」

そう、 清火は英語が話せないのだ。

英語なんて学校で習ったレベルでしか知らないしなぁ……

すると拳一がクスッと笑って言った。

「大丈夫ですよ、 もしもの時は私が翻訳しますので……それに会長や攻略者の方々は全員日本語も話せるようですよ」

「そ……そうですか……」

良かったぁぁ……!

一安心した清火は意を決して扉を開けた。

すると次の瞬間……

『ヒュンッ! 』

突然小さな刃物が清火の方に目掛けて飛んできた。

しかし清火は動ずることなく飛んできた刃物を軽々と二本指で捕らえた。

「お見事、 流石Zランクだ……」

「手荒い歓迎のようで……」

そう言う清火の前にいたのは五人の攻略者達と会長らしき人だった。

先程刃物を投げてきたのは攻略者グループの一番奥にいた男だった。

その男からは禍々しい魔力が溢れており、 右目が紫の瞳になっている。

男は笑みを浮かべているような顔つきだったがそれが更に不気味さを醸し出している。

「……お前が新しく入ったZランクの攻略者か……悪くない……」

そう言いながら男は清火の目の前に歩み寄る。

「……面白いものを持っているな……これはすぐにでも前線に出られそうだ……」

「初対面なのに随分と大胆ですね……まだ名前も聞いてない……」

清火がそう言うと他の攻略者の男が笑った。

「ハハハッ! こいつは大物だ、 あのメテュスに物怖じしないなんてよぉ! 」

すると集団の中にいた女性攻略者が清火の前に出た。

「気にしないで、 こいつほんと嫌な奴だから……私はセラピア、 同じZランク攻略者として歓迎するわ」

その女性は気さくな態度で清火に握手をしてきた。

セラピアさんか……確かギリシャ語で癒すという意味だったような……という事はこの人は回復系の魔法職か……凄まじい魔力が手からも伝わってくる……

するとセラピアと一緒に他の攻略者達も自己紹介してきた。

「俺はルクスだ、 魔法系の剣士職だぜ! 」

「僕はアーラ、 セラピアの弟だよ」

「……クルテルだ……」

魔法剣士系のルクス……セラピアさんの弟のアーラさん……そしてクルテルさん……どの人も凄まじいオーラを放っている……

「俺はメテュス、 さっきは済まなかったな……」

そう言って先程刃物を投げてきた男が清火に握手してきた。

……この人には注意しないと……何か企んでいる……

清火はメテュスに警戒心を抱きながらも部屋の奥へと進んだ。

「……この時を待ちわびていたよ……攻略者モルス君……最強にして最恐と呼ばれし『死神』……私はアメリカ攻略者協会会長のルーカスだ」

部屋の奥では会長が清火を出迎えた。

この人がここの会長か……日本の会長さんと似た雰囲気……

そしてルーカスは清火と握手を交わす。

するとルーカスは動きを止める。

「……凄まじい魔力だ……君を呼んで正解だったかもしれないな……」

「期待通りの働きができるかはわかりませんけどね……」

「フッ……君のような攻略者は皆そう言う……」

そしてルーカスは攻略者達を用意した席に座らせ、 作戦内容の説明を始めた。

「さて……早速だが今回の作戦の内容を話そう。 前もって聞いてもらった通り、 今回君達に攻略してもらう迷宮はかの『ドラゴンズテリトリー』だ……」

そう言ってルーカスはスクリーンに『ドラゴンズテリトリー』の航空写真を映した。

『ドラゴンズテリトリー』と思しき地域一帯は真っ黒な大地になっており、 中心には迷宮の入り口と思われる光の玉のような物が写っている。

……まるで映画に出てくる汚染区域みたい……

「これは今から4年前、 迷宮が出現してすぐに撮られたものだ……この時点で既に竜人共は町を侵略し、 範囲にして直径20キロ前後にまで領域が広がってしまっていた……そして……」

「ッ……! 」

次に写された写真を見て清火は驚愕した。

その写真には先ほどの何倍もある範囲まで広がった真っ黒な大地が写されていたのだ。

「……これが最近撮られた写真だ……そしてこの写真を送信した隊員からの交信は途絶え、 行方不明となってしまったそうだ……」

「それって……」

「相手は空中に対する攻撃手段を持っている……しかもそれは4年前には無かったものだ……」

……進化……か……他の魔物よりも賢いって事か……

ルーカスは話を続ける。

「よって今回の相手はかなりの強敵となるだろう……しかしこのままにしておけばいずれ人口密集区域にまで侵略が広がってしまう……そうなればこの国は壊滅的損害を受けてしまう……」

「俺らに拒否権はねぇって言いたいんだろ? 安心しろって、 誰も逃げやしねぇよ」

ルクスがそう言うとルーカスはフッと笑った。

「君達には大いに期待しているよ……特にモルス君……君の日本での活躍はここまで聞き及んでいる……是非その力を見せて欲しい」

「……言われずとも」

「……さて、 『ドラゴンズテリトリー』についてはここまでだ。 ここからは作戦の概要を説明する」

そしてルーカスは今回の作戦について話した。

「……以上が今回の作戦内容だ、 何か質問がある者はいるか? 」

「特に何も……皆そうだろ? 」

「うむ……では翌日、 現地へ集合だ……明日、 迎えをそちらに寄越す」

そして一同は解散した。

…………

「……」

ホテルへ向かう車に乗った清火は窓の外を眺めながら今回の攻略の作戦について考えていた。

……今回の作戦……少し不可解な点がある……

作戦の内容は至って単純。

回復を得意とするセラピアは前線基地にて待機し、 負傷した兵士達を治癒させる。

メテュス、 ルクス、 アーラ、 クルテル、 そして清火の五人は前線にて竜人達の殲滅。

アーラとルクスは後衛で取り逃がした竜人の殲滅、 及び兵士達のサポートに回り、 クルテルは周辺区域に不審な動きが無いかを監視。

そしてメテュスと清火は最前線にて迷宮へ侵入、 及び完全攻略を任された。

……この作戦で一番重要な役目はメテュスさん……そして私……でも、 私でなくとも十分に前線に出られるルクスさんやクルテルさんでも良かったはず……言ってしまえば私は初めてここに来たよそ者……まだ信用に欠ける私にこんな重要な役をやらせるのは少しおかしい……やっぱり……あの会長は私を試そうとしてる……でも、 何が目的かは知れたこと……私はただ迷宮を潰すだけ……

そんな事を考えていると車がホテルへ到着した。

「ではモルス様、 明日お迎えに上がります。 私はまだ業務が残っていますのでこれで……」

「はい、 ありがとうございます」

そして清火は車から降りた。

「……でっか……! 」

清火は協会が手配したホテルの大きさに驚いた。

これがZランクかぁ……

清火は協会からの待遇の良さに少し恐怖を覚えた。

翌日……

清火は早朝に起こされて現地へと向かった。

焦った……本当に焦った……起きたら何故かローナが私を抱き枕みたいにしがみついて寝てるし……朝からめっちゃ疲れた……

朝にそんなアクシデントがありながらも清火は現地へと到着した。

そこには見渡す限りの荒野が広がっており、 立入禁止区域であるのもあって辺りは不気味な静けさに包まれていた。

「前線基地はこちらです」

清火は拳一に案内されて兵士達が待つ前線基地へと向かった。

「……」

基地へ向かう途中、 清火は何かを感じた。

すると清火の意識の中でゼヴァの声がした。

『モルス様……お待ちしておりました……』

(ゼヴァ……周辺の様子はどうだった? )

実は清火は先日の夜中にゼヴァを『ドラゴンズテリトリー』に送り込み、 偵察を行っていたのだ。

会長が現地の写真を見せてくれたお陰で特定は難しくなかった……まぁ……私はこっそり写真を撮っただけで特定はローナがやってくれたんだけど……

ゼヴァは偵察の結果を報告する。

『結果から申し上げますと……今回の作戦において他の攻略者達は必要ないと思われます……』

(……なるほどね……敵の戦力はそれほどではないと……)

『はい……しかし竜人達は次元迷宮の出入口を大勢で厳重に守っており、 そこまで偵察することは不可能でした……』

(分かった……そこまで分かればいい……ありがとう)

そしてゼヴァの声は聞こえなくなった。

……あわよくば次元迷宮の中まで偵察できたら楽だったんだけど……そう簡単にはいかないか……

そんな事をしている内に清火は前線基地に到着した。

そこでは既に他の攻略者達が集まっていた。

「待ってたわよモルス」

「さぁて……さっさと攻略して帰ろうぜ! 」

そんな事を言いながら攻略者達は準備を始めた。

すると他に待機していたアメリカ兵士達が清火を見るなりひそひそと話し始めた。

『おい……まだ子供じゃねぇか……』

『会長が言うには見た目だけらしいが……何だかなぁ……』

『でもあの子の力が本物だとしたら今回の作戦は確実に成功するはずだ……どっちにしろ後には引けない状況なんだ……賭けてみるしかない……』

清火は兵士達が何を言っているのかは分からなかったが大体何を言っているのかは予想できた。

……まぁ……周りが何を言おうが私は今回の迷宮を潰すだけ……終わったら残りの滞在期間でローナと観光にでも行こう……

清火はそんなことを考えながらいつも通り武器を準備するとセラピアが清火の元にやって来た。

「ねぇ、 モルス……その銃イカしてるじゃん! どうやって手に入れたの? 」

「え……えっと……」

清火は返答に困っているとクルテルが二人の横を通り過ぎ際に言った。

「魔物の素材から作られている……そいつの知人に相当な加工技術を持った人間でもいるのだろう……それ以上は話せん……と言ったところか? 」

「え……えぇと……まぁ……」

少し戸惑いながらも清火は返事した。

確かにローナってたまにヤバいルートから兵器開発用の物を買い取ってたりするからなぁ……

するとセラピアは笑いながら清火の肩を叩いた。

「アハハッ! なんだ、 それならそうと言ってくれればいいのに! 私達の武器も中にはそういうルートで手に入れた奴もあるの、 だから安心して」

「そ……そうなんですか……」

Zランクの人って……そういうのにあまり抵抗が無い人が多いのか……

清火はZランクの攻略者に対して自身との共通点を感じた。

そして一同は準備が終わり、 いよいよ『ドラゴンズテリトリー』の攻略作戦を開始した。

セラピアは基地で待機し、 ルクス、 アーラ、 クルテルの三人はそれぞれ配置に付いた。

…………

そして清火、 メテュスは竜人達の群れの前まで来ていた……

「さて……いよいよだな……まずは俺が道を開けよう、 お前らは下がって見てるといい……」

そう言うとメテュスは手を前に出し、 下から上へ持ち上げる仕草を見せた。

次の瞬間、 目の前にいた竜人達の立っている地面から真っ黒で巨大な針状の物体が飛び出し、 竜人達を一斉に串刺しにした。

竜人達を串刺しにした物体はそのまま地面に引っ込み、 後には竜人達の亡骸が絨毯の如く広がっていた。

「まだまだだ……」

そう言うとメテュスは自身の周囲に黒い球体を出現させ、 竜人達のいる様々な方向へ飛ばした。

すると次の瞬間……

「ッ……! 」

黒い球体達が着弾した場所から巨大な火柱が上がり、 着弾地点の周囲数百メートルの一帯を焼き尽くした。

勿論竜人達は瞬く間に灰と化し、 辺りには何も残らなかった。

……凄い力……エンペラーさんの何倍の強さはある……通りで一般兵士がここには寄越されていなかった訳だ……

清火はメテュスの力に感心した。

「流石Zランクですね……」

「フフッ……まだ手加減している方だ」

「……これは私も負けていられませんね……」

あまりメテュスさんにやらせてばかりだと力を吸収するための魔物達がいなくなっちゃうし……

すると清火は黒月を二つ出し、 ライフルの形へ変形させた。

「……」

清火は黙り込むと変形させた黒月を空に向けて構えた。

そして……

「……! 」

清火は引き金を引き、 発砲した。

すると弾丸はある程度上空へ上がると散弾銃のように分裂し、 何かを追尾するようにあらゆる方向へ飛んで行った。

次の瞬間……

「! ……あれは……! 」

弾丸は透明な何かに当たり、 巨大な火の玉を作るように大爆発を起こした。

それも色んな箇所で……

何が起きたのか分からない様子だったメテュスに清火は言った。

「奴ら……空中に対する攻撃手段を持っているって言ってましたよね……恐らくあれがそのタネです……」

そう言う清火の視線の先には上空に立ち込める黒い煙の中から落ちてくるドラゴンの焼け焦げた死体だった。

そう、 竜人達はドラゴンを操り、 透明化の魔法を使って空中を飛び回っていたのだ。

まぁ……意外と簡単なタネだったな……にしてもこのライフル……威力が強すぎなんじゃ……

清火は新しい黒月の威力に少し恐怖を覚えた。

「……流石だ……『死神』という名は伊達じゃないようだな……」

「まぁ……私もまだ手加減してる方ですけどねッ……! 」

そう言いながら清火は鎌を出し、 背後に振り上げた。

すると何もない空間から大量の血が噴き出し、 それと共にドラゴンの首が現れた。

空中で生き残ったドラゴンに乗った竜人が清火に目掛けて突っ込んで来ていたのだ。

そして乗っていた竜人も清火は空かさず拳銃に戻した黒月で頭を撃ち抜いた。

そんな清火の速さを見てメテュスは驚いた。

「お前……魔法職って聞いていたが……随分と速いんだな……」

「……まだこんなものじゃ足りませんよ……この世の次元迷宮を潰すには……まだ……」

そう言う清火の姿はまるで獲物をひたすら探す怪物に見えた。

「……さぁ……行きましょう……本命はまだ残っている……」

「……そうだな……」

(モルスとはよく言ったものだな……)

メテュスは清火の強さを見て背筋に寒気を覚えながらも先を進んだ。

続く……


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