―45― 人探し
そんなわけで今日は学校は休みなので一日かけてオロバスを捜索することにした。
「それで、人探しが得意な悪魔ってのは誰?」
フォカロルを退去させたあと、僕はクローセルにそう尋ねていた。
「序列第62位ヴァラクちゃんですよ」
「ヴァラクちゃん……?」
ちゃん付けで呼ぶってことは女の子なんだろうか。
「クローセル、今日はいつになくご機嫌じゃない?」
ふと、クローセルがヴァラクちゃんと言ったとき、クローセルがいつも以上にニコニコしているような気がしたのだ。
「えへへ、今日は邪魔なフォカロルがいないですし、実をいうとヴァラクちゃんとは仲良しなんですよ」
「あー、なるほど」
さり気なく、クローセルがフォカロルのことを邪魔といったことが気になる。
悪魔同士仲良くしてほしいんだけどな。
ともかく、クローセルと仲がよい悪魔ってことは、そう悪い悪魔じゃないんだろう。
なら、スムーズにオロバス探しに協力してくれそうだ。
「――我は汝をノーマンの名において厳重に命ずる。汝は疾風の如く現れ、魔法陣の中に姿を見せよ。世界のいずこからでもここに来て、我が尋ねる事全てに理性的な答えで返せ。そして我が願いを現実のものとせよ。来たれ――第62位、ヴァラク!」
今回は今まで行ってきた召喚のさいの詠唱を少しではあるが短くしてみた。
今後も、少しずつ短くしていって最終的にはもっと短い詠唱でも召喚できれば、と思う。
魔法陣は問題なく光り、いつもの如く人影が現れた。
「やっほー、ヴァラクちゃん!」
「あっ、クローセルちゃん! 会いたかったのー!」
現れたのは天使の羽がある可愛らしい女の子だった。
天使の羽があるってことはクローセルと同じ堕天使ということか。
僕よりも小さいな。
クローセルとヴァラクはお互い会えたのが嬉しいのか抱き合って喜んでいた。
「えっと、ヴァラクさんだっけ」
僕がそう話しかけるとヴァラクはこっちを振り向き、観察するように僕のことをじっくり見る。
「君がノーマン様?」
「えっと、僕のことを知っているのか?」
「うん、クローセルちゃんが明るくなったのはノーマン様のおかげなのって聞いていたの。前々から会いたいと思ってたのー」
なるほど、クローセルから僕のことは伝え聞いていたらしい。
「それでヴァラクさんにお願いがあって召喚したんだけど……」
「ヴァラクちゃんのことは呼び捨てで大丈夫なの。それに敬語もやめてほしいの」
「そっか、ヴァラクにある悪魔を探してほしいんだよね。その、人探しが得意だって聞いていたからさ」
「うん、全然オーケーなの。ヴァラクに任せて」
あっさりとヴァラクは了承してくれる。
この調子なら、意外とすぐにオロバスが見つかるかもしれない。
それと、短編ですけど、新作投下しました。
URLはこちらです→https://ncode.syosetu.com/n0159hc/
よろしくお願いします。