表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/285

こんなの嫌だ

 真希さんは緒方さんを見ながら溜息を吐いた。それから口を開く。

「由真が子役をしていたときに面倒をみていた時期があってな」

 緒方さんはそうそうと言いながら、懐かしんでいるようだった。

「あの頃の真希さんは綺麗でね、将来結婚してってせがんでいたかな。もちろん、いまも綺麗だとは思うよ」

 それから緒方さんは瀬奈に視線を向ける。

「瀬奈も久しぶりだね、元気だったかい?」

 どういうこと? 今日はすごく疲れそう……。

「……そうですね、由真さん。私を真希さんの事務所に捨てたとき以来でしょうか」

 その言葉を聞いて、蓮川恋の表情に怒りの色が混じる。

「……瀬奈、あなたが勝手に出ていったんでしょ」

 その声は震えていた。それでも、瀬奈は動じることもない。

「そうね、恋がメディア露出すると同時に移籍したのは私の意思。でも、そうさせたのは由真さんよ」

 瀬奈はそう言いながら緒方さんに視線を向ける。

「そうだね、そうさせたのは私かもしれないね。瀬奈をクロノのリーダーにしようとしたから」

 蓮川恋は怒りを露わにした。

「何が嫌だったの、瀬奈っ!? 私はあなたと一緒にトップを目指したかった!」

 それでも動じない瀬奈を見つめていると、不意に私と視線が合った。それから蓮川恋に視線を戻す。

「私はソロでいたかったから。それに私といてもあなたのためにならない、そうでしょ、恋。ずっと私に依存してたことに気づいてないの?」

 涙を浮かべる蓮川恋は小さな声で感情を吐露した。

「……き、だった。好きだったんだよ、……瀬奈のことが」

 瀬奈以外の全員がびっくりしていた。私が言うのも変だけど、瀬奈って同性にモテ過ぎてない?

 緒方さんが瀬奈に問いかける。

「でも、瀬奈はいまソロではなくユニットを組んでいる。それはどういうことかな?」

 瀬奈は黙ったまま私の方に顔を向けた。その顔は何かを伝えていた。

「……えっ?」

 私は修羅場に油を注ぐしかなかった。

 ……ぐすん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ