普段見せない瀬奈の隠し事
「ということでやっと一段落だね、瀬奈」
真希さんに報告した後、私は瀬奈のいるスタジオに向かっていた。
そう、ここは瀬奈の楽しみにしていたドラマの撮影場所でまだ収録しているはずと勝手に楽屋で座って待っているとテーブルにあの日読んでいた台本が雑誌の束に隠すように置いてあった。
気になってその台本に手を伸ばし頁をペラペラと開く。
……。
あれ? 全体を通して書き込まれている文字の中に私の名前があるんだけど。
名前のあとに何か書かれているけど、なんだろう? ボールペンで黒く塗りつぶされているけど読めそう。ということで目を凝らして見てみる。え〜と……
「佐奈のために頑張るぞ♡」
あ、可愛い、萌え死にそう。
まさか瀬奈がこんなことを書き込んでいるとは。不意すぎて動悸が止まらない。
深呼吸をして息を整えた私はその台本をさっきと同じように雑誌の中に紛れ込ませた。
するとすぐにガチャリとドアが開いた。
今日の出番を終えた瀬奈が入るとすぐに私のことに気づき「えっ?」と小さく漏らす。
「瀬奈お疲れ様〜」
瀬奈を見ながら小さく手を振ると瀬奈は「ど、どうしたの?」とぎこちなく私の真正面にペタリと座り込んだ。
「真希さんと話も終わったんだけど、今抱えてるものもすぐに〆切来ないし、瀬奈に会いたいなって思ったから来ちゃった」
てへっ! と戯けようとした瞬間瀬奈が私の胸に飛び込んできた。
「佐奈っ!」
「んあっ!」
突然過ぎて変な声が出てしまった。恥ずかしい。
「お疲れ様、瀬奈」
そう言って頭を優しく撫でると次は抱きしめてきた。
何この幸せシチュエーション、抱きたくなるんだけどっ!
と、ダメダメ、ここは楽屋だった。
社会的抹殺事案を起こそうとする心をなんとか鎮めて瀬奈をそっと引き離す。
「もしかして緊張してた?」
無言で頷く瀬奈。可愛すぎて家で飼いたいぐらい、まぁ彼女なんだけど。
「好きな作品って言ってたもんね、瀬奈は頑張った。でもまだシーンはあるんだよね?」
「うん、次は明後日だったかな。そんなことより佐奈、私佐奈に会いたかった」
またさっきと同じように抱きついてくる瀬奈。よほど緊張してたらしい。
私もだけどドラマはデビュー当時によく出ていたから緊張するのはよくわかる。慣れない頃の現場なんてピリピリしてるし。
「私も会いたかったから。じゃあ一緒に帰ろっか」
「うん、一緒に」
瀬奈は離れるとすぐに帰宅準備を始めた。そこで気づく。
「ねぇ佐奈、この台本見た? なんか微妙に動いてる」
ギクッ……
「そんなところに置いてたら誰もわからないと思うよ?」
「じゃあどうして視線外したの?」
バ、バレてる。
「はは……」
「見たんだ、ふ〜ん」
それから瀬奈から唇を奪われるお仕置きを受けちゃいました。
はぁ〜幸せ〜




