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大精霊、回復する


「陛下、必ずや同盟を」

「あの方を怒らせないようにお願いいたします」


 お付きっぽいエルフの方々がなんだが私を怯えたような眼で見ながら皇帝さんに頼み込んでる。

 一体彼らには私が何に見えてるんだろう? どこからどう見てもただのエルフなのに。


 そうしてやってきたのはダンジョンコアが置かれている広間。

 精霊さん達が楽しげに飛び回っている中を私は進み、定位置となっている豪華な椅子に座り込む。

 ふと横を見るとフェルコーネがよだれを垂らして呼吸するたびにお腹を膨らまして寝てた。

 こいつ、いつも寝てるよね。まさしく私が理想としている生活を先にしてるし、なんて憎らしい。


「あ、適当に座ってね」


 なにせ椅子というか家具は無駄にたくさんある。

 家具作りは精霊さん達の趣味になりつつあるから日々大量に作り続けられてるしね。


「これ、皇室に降ろされる椅子より高価じゃない」

「ああ、謁見の間にある王座よりも見栄えだけじゃなく明らかに質が上だ」

「し、神殿の物より高そうなんだけど……」


 ただの椅子に何をそんな言ってるんですかね? 椅子なんて座れたらいい物なのに。

 なにやらビビりながら椅子を引き、座る皇帝さん、レオンさん、聖女さんの三人。


 三人が腰を落ち着けたのを確認した私が口を開く。


「じゃ、改めてなんでここに……」

『ギャァァァァァァァァ! イタィィィィィィ!』

『にんじん、にんじんはいやぁぁぁぁ』

「きゅぅぅぅぅぅ!」

『このポーション染みすぎじゃろがぁぁぁぁぁだ!』


 私の言葉が聞こえなくなるくらいの大きな悲鳴が響いた。

 イーリンス、拷問でもしてるのかな?

 途中からフィズやソラウの悲鳴も聞こえてきてるけど、そっちはポーションが傷口に染みてるだけだろうから特に心配はしてない。

 悲鳴上げるだけの元気はあるみたいだし。


「で、話ですがって大丈夫?」


 話を続けようとして椅子に座る三人な方を見るとレオンさん以外の二人が顔を蒼くしていた。


「ご、拷問でもしてるのかな?」


 皇帝さんが顔を蒼くしながらも笑顔を作って言ってきた。


「拷問なんてしてません。あれはイーリンス曰くお仕置きらしいです」

「お仕置き……」

『いたぁぁぁぁぁぁぁい!』


 皇帝さんが絶句していると再び悲鳴が響いた。

 精霊って魔力の塊なのにどうやってお仕置きしてるのか少し気になる。

 まあ、精霊さん達がイーリンスにお仕置きされて悲鳴が上がるなんて事はここではよくあることなわけだから気にするだけ無駄な気もするけど。


「はぁ、さっさと話を進めて」


 なんか会話が面倒になってきた。

 早く寝たい。

 そんな思いを隠すことなく私が深いため息を吐くとビクっと面白いくらいに三人は体を震わせた。


『我も参加じゃ!』

「きゅう!」


 そして騒々しく青色のボロボロのドレスを着たソラウと煤だらけのフィズが元気よく扉をなぎ倒しながら広間に姿を現した。

 回復早いなぁ。さすがエルフ印のポーション。

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