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エルフ、決意する?


 滝のような雨は上がり、空は快晴。

 いやぁ、雲ひとつない天気は素晴らしい。夜中に雨の量が増えてフィズの掘った穴が水没しかけて寝てる場所まで水が迫った時には流石に悲鳴をあげたよ!


「街に行くよ!」

「場所わかっとるのか?」


 快晴の光に照らされて葉に溜まる雨水が光る精霊樹の足元で私は大きく宣言する。即座に雨が降る瞬間に主人を見捨てた氷の精霊に水を差されたけど気にしない。氷の精霊のくせに!


「場所はわからないけど精霊樹ってデッカいじゃない?」

「まあ、現状ですらお主の里の世界樹よりは遥かにでかいわな」


 そう言えばソラウは私の里にある世界樹見たことあるんだっけ?

 私からしてみたらある程度巨大な物はどれくらい差があるか全くわからなくなるよ。


「そんだけでかけりゃさ、ある程度の高さまで登れば何かしら見えるよね!」

「小粒くらいな大きさじゃろうが、お主はエルフじゃからのう」


 そう、エルフは目がとんでもなくいい。それは彼方の獲物を容易く見つける程にいい。ついでに耳もいい。尖った耳は伊達ではないのだよ。


「そう、エルフの眼にかかれば遠くても見えるのさ!」

「きゅー?」


 フィズがなんだか胡散臭い物を見るような眼で私を見てる。エルフの眼を信用してないな!


「いや、信用されとらんのはエルフの眼ではなくお主自体じゃろ?」

「え、なんで?」


 なぜか頷いているフィズに私は首を傾げてしまう。


「そりゃお主の目は確かに凄い事は我も認めるが、お主方向音痴じゃろ? 昔、里から外に出ようとして五分で里に帰ってきたのを忘れたのか?」

「ぐ、」


 そ、それは思い出したくもない過去の話だよ。

 確かに私は里の外が見たくなって荷物も準備万端にして里の外へと踏み出した。踏み出したはずなんだ。五分歩いたら里の反対側から里に戻ってきてたけど……

 確かに里から出るための道なりを歩いていたはずなんだけどなぁ。

 それでも何度も里から出てみたんだけど気付けば里に戻ってるんだよね。

 途中で諦めたけど。


「そんなお主が仮に街や村を見つけたとしても普通にたどり着けるとは思えん」


 ソラウの言葉にフィズも同意見なのか大きく頷いてるし。


「そもそもエルフが森で迷うとかがあり得ないじゃろ」

「ふぐぅ!」


 胸が痛い。言葉で胸が抉られる。

 確かに森の民のエルフが森で迷子とか酷すぎる話だよね。


「方向音痴は大人しくしておいた方が自分と周りのためじゃぞ?」

「ねえ、それって慰めてる? それともバカにしてる?」

「我は契約精霊じゃぞ? 契約者に嘘などつかん」

「貶してるよね⁉︎ 絶対に私のこと貶してるよね⁉︎」

「きゅうきゅう」


 トドメに諦めてと言わんばかりにフィズが私の足に手を当ててきた。

 ひ、ひどい。絶対フィズもバカにしてるよ!


「正直な話じゃが、何もしなくても問題ないと思うぞ?」

「なんで?」

「いきなりこんな馬鹿でかい樹が現れたんじゃぞ? なにせこのデカさじゃからのう、近くに村や町があれば大きな街や国に報告するじゃろ? じゃったら何かしらの動きがあるじゃろ」

「なるほど! だったら寝て待てばいいかな?」

「またびしょ濡れになりたいのか?」

「それはやだね!」


 フィズが集めた物から使える物を貰おうかな。なんかフィズは慌てて巣に戻ってるみたいだけど別に大した物なかったからいいよね?

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