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エルフ、放り込まれる


 落下して爆発した。

 結果だけを見ればこの一文で済むような内容だ。

 当然、落下して地面にぶつかる前には魔力に物を言わせて風を生じさせて地面を砕くようにして爆発させて衝撃も多少殺したわけだけど、それでも身体は結構痛い。


「な、なんだ」


 土煙が巻き上がり視界の悪い中、そんな声が聞こえてきた。

 周りを見ても土煙のせいで全く何も見えない。煩わしさを感じながらも視界を確保するべく土煙を風で吹き飛ばす。

 砂埃などを一掃して周りがようやく見える。


 私の正面には二振りの輝く剣を手にしたレオンさんとその後ろには騎士みたいな人達が豪勢な服を着た人と白い清楚そうな服を着た女性を護るように布陣していた。

 そして振り返ると手が異様に増えた女性型のオリハルコン像が立っていた。


「えー、ど真ん中に放り込まれたんですか……」


 本来なら私の立ち位置にはフィズがいるはずだったんだけど、なんで私がこの位置にいるんですかね。


『あ、いるぜだ』

『いるぜもあそびにきたの?』


 オリハルコン像に付いているらしい精霊さん達が私に気付き声をかけてきた。

 それに比例してレオンさん側にいる人達の緊張感が高まるのがなんとなくわかった。


 ああ、めんどくさい。


 そんな私の気持ちが分かったのかさらにレオンさん側の人達の緊張が高まっていく。

 そんな中、レオンさん側の何人かは跪いて頭を下げて来ていた。

 頭を下げてきてるのは私と同じエルフみたいなんだけど何があったの?


「どうした」

「団長様、あの方は怒らせてはいけません!」

「あの方はエルフではありますが私たちのようなエルフではありません! あの尋常じゃない魔力量、ハイエルフ様、もしくはエンシェントエルフ様です!」

『なっ⁉︎』


 なんかレオンさん達が絶句しています。

 ハイエルフ? エンシェントエルフ? エルフに種類なんてあるんですかね?


「私は普通のエルフですが?」

『そんなわけないじゃなーい』

『そうだよー』


 オリハルコン像から離れてきたらしい精霊さん達が私の周りを飛び回りながら否定してきました。


『ふつうのえるふはあっちにすわってるのだよ』

『いるぜはふつうのえるふよりはるかにすごいんだよ?』

「ふーん」


 そう言われても全く実感がありませんけどね。


『それよりいるぜ、そこどいてよー』

『そいつらつぶせなーい』


 オリハルコン像に付いている精霊さん達が私の立っている位置に対して抗議をしてきます。

 ああ!なんてめんどくさい。


「で、用件はなんですか? レオンさん。面倒なのは嫌なんですが?」


 げんなりした目つきで剣を構えるレオンさん達へと目を向けます。

 正直な話、放っておいて頂きたい。私はぐーたらしたいだけなんです。


「こちらの用件はな……」

「簡単に言えば同盟を結んで貰いに来たんだよ」


 レオンさんの発言を遮りながら言葉を発したのは後ろにいた豪華な服装をした女性、いや、まだ小さいので女の子でしょうか?


「同盟?」

「そう、同盟!」


 な、なんか目がキラキラしてるよこの子。

 うーん、私の記憶違いじゃなければ同盟って対等な力がなければ成り立たないような物だった気がするんだけどなぁ。

 そもそも私、というか目当ては大精霊であるソラウや竜のフィズの戦力な気がするけど。


「あ、あたしのほうも神託を受けて和平を結びにきました!」

「わ、わへい?」


 今度は清楚そうな服を着た女の子が大きく手を挙げて宣言してきた。

 わへいってなんだろう?

 そもそも神託ってやつは誰から受けたものかもわからないよね。


『あー、うらぎったリリィがいる』

『ほんとだー』

『ひとりでじんかいにいったわるいやつだー』


 首を傾げて考えていると後ろのオリハルコン像に付いていた精霊さん達が清楚そうな服を着た少女の肩に止まる小さな鳥、よく見たら精霊とわかる存在を指差しながら騒ぎ始めていた。

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