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エルフ、響きに危険な気配を感じとる

 

 待つのに飽きた。

 椅子に座って待つというのも意外に辛いものがある。

 いくら素材がいい椅子であって座り心地がよくてもそこは私というエルフが同じ行為をずっと続けれない飽き性であるから仕方がないとしか言いようがない。


 そんな訳で私は精霊さん作の質素な椅子を持って城の入り口で待つことにした。

 さすがに無駄に豪華な椅子を移動させるのは面倒だし、重いし、しんどいからね。

 当然、私にソラウやフィズにイーリンス、それに精霊さん達、そして付随するように魔鏡もふわふわと私の背後を付いてきている。フェルコーネは興味がないようで昼寝してたし置いてきた。


「森の騒がしさが酷くなってない?」


 城の入り口までくるとあちらこちらで聞こえてくる爆発音と悲鳴、それに近くで見に行っているらしい精霊さん達の歓声が耳に入る。

 魔鏡で見ている精霊さん達にとっても完全に娯楽と化してる。

 欠伸を噛みしめながらそんな光景を見ていると精霊さん達が集まり何かを作っているのが目に入る。

 それも色々な属性の精霊さん達が何やら相談しながら作っているみたいだ。


「なに作ってるの?」


 悲しいかな、爆音や悲鳴に慣れてきた私は好奇心から何かを作っている精霊さん達へと声をかけた。

 その声に気づいた精霊さん達は満面の笑みを浮かべていた。


『そらうさまがやってたみたいなさいしゅうへいきー』

『がっさくがっさく』

『ろまんつめこんでみたー』


 んー? 何か武器を作ってる感じなのかな? でも精霊さん達が武器を使って戦ってる姿なんて見たことないんだけど。

 いや、そもそもそんなに複数属性の魔法で作る武器って絶対にヤバい代物だよね?


『じしんさく!』

『こうごきたい』

「うん、まぁ、適当にね」


 なんとなくこれ以上触れるのはまずい気がする。本当に危ない物だったらソラウが…… いや、一緒に悪ノリして被害が広がりそう! きっとイーリンスが止めるよね?


『できたー』

『かいしんのできー』


 そんなふうに悩んでいる間に精霊さん達が奇妙な踊りをしていた。どうやら精霊さん達の工作は終わったらしい。

 見るのが怖かったわけだけど好奇心には勝てずに作っていたものへと視線を向ける。

 そして口を開けて間抜けな顔を晒してしまった。


 そこにあったのは精巧に作られた女性の石像だった。

 同性である私から見てもうっとりとしてしまう程に美しく作られた憂いを帯びた顔だ。

 その下の体も鎧を着込んでいるが女性らしいラインも自然に出されており、それなりに高く売れそうな芸術品のように見える。

 そして普通ならば有り得ない腕が二本ではなく四本もあり、さらには背中に四対の翼まである訳なんだけどこの石像が神秘的な雰囲気を出しているからか違和感ではなく自然に馴染んでいた。


「なに、置物でも作ったの?」

『ちがーう』

『さいしゅうへいき』

『せいれいへいき、からみてぃだよ』


 精霊兵器……すでに響きが危険すぎる!


『あ、こーてぃんぐわすれた』

『それはいけない!』

『はやくしあげる!』


 芸術品のような石像を取り囲み、舞うように精霊さん達が奇妙な踊りをしていた。

 これ、なんの儀式?

今年はこれにて投稿終了です。

皆さま、良いお年を

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