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エルフ、予感が動く

 

「とりあえずダンジョンコアのとこに行こうか」

『はーい』


 二度寝をしようとしたけど結局精霊さん達の騒がしさのせいで寝付けなかった私は服を着込み、床に放り投げるように雑に置かれていた魔王の剣を手に取るとダンジョンコアが置かれている部屋へと向かう。

 泉の中に沈んでいたダンジョンコアだったけど必要な物だとわかり大事にしていたわけなんだけど、私が指輪を一度落としてからはちゃんとした台座のような物が作られ、元の球体の形に戻してその上に置かれるようになった。

 そんなダンジョンコアが置かれているのはこの城の中心で一番大きな部屋だ。

 そしてその部屋には一際精霊さん達が拘って作ったらしいいくつもの椅子と豪華で大きなテーブルが並べられている。

 そんないかにも会議室みたいな部屋に入った私は部屋の片隅でいびきをかきながら寝ているフェルコーネを一瞥すると一際豪華に彩られた椅子へと腰を掛ける。

 なんでも精霊さん達曰く、会心の出来らしい。


「いつ見てもすごいよねぇ」


 椅子に座りながらも私は背後へと顔を向ける。そこには精霊樹の姿があった。

 どうもこのダンジョンコアの力で作り出した城は精霊樹と一体化するように城を作り出したらしい。

 一体化とは言っても巨大な精霊樹を囲むように作られたわけではなく、城の真ん中に精霊樹があり、それに違和感がないよう作られているわけ。外から見れば精霊樹が城を突き抜けているように見えることだろうね。


『なんじゃ、イルゼがこの時間に起きておるのは珍しくないか?』

「きゅきゅー」


 そんな人を小馬鹿にしたような発言しながらソラウがふわふわと浮かびながら、フィズは小さいくせにのしのしと音を立てながら部屋へと入ってきた。


「精霊さん達が煩くて寝れなかったの」

『いい傾向ね。これからもちゃんと健全な生活を送りなさいな』


 私が不貞腐れながら告げると上から真っ白な少女、イーリンスが笑いながら姿を見せた。

 イーリンスは笑ってるけど私にとったら笑い事じゃない。

 睡眠不足すぎて死んでしまうかもしれないんだから!


「それで精霊さん達が騒いで私の睡眠まで妨害したんだから、普通の侵入者だったらただじゃおかないんだから」


 場合によっては黒騎士を差し向けよう。

 死にはしないよね。黒騎士に襲われたくらいなら。半殺しくらいだよ。


『人を殺したらダメよ!』

『なんか怖いこと考えとるのぅ』

「きゅう」


 みんなの意見は反対らしい。

 妨害されたんだから正当な理由だよ。


『まあ、とりあえずは入ってきた輩を見ようではないか』


 ソラウが気を取り直すかのように一つ咳払いをすると台座に収まるダンジョンコアへと近づき、手をかざす。

 するとダンジョンコアが光り輝き、広間の上に大きな鏡のような物が六つ姿を現した。

 鏡の中には災害の森にやってきたらしい人間ヒュームの姿が映っていた。

 一つは以前見たことがある帝国とかいうやつの服を着てる。もう一つは見たことはないけどなんだか神聖な感じがする。そして最後に確認したのはなんか盗賊ぽい輩だった。


『ふむ、やはり人間ヒュームの大群じゃな』

「不思議だよね。遠くの物を見ることができる鏡なんてさ」


 広間の宙に浮かぶ鏡は遠くの景色などを映し出す事ができる魔鏡という物でダンジョンコアの力でダンジョン内を映し出しているらしい。

 どうも災害の森全域が私のダンジョンと認識しているらしくて私も災害の森の中にいる人の事は意識をすれば頭の中のマップに映る。

 よくわからない原理だけど便利だよね。


 ソラウはダンジョンコアに置いた手を空間へと疾らせると魔鏡に映る光景が次々に変わっていき、六枚の魔鏡には様々な角度から死角なく映る人間ヒュームの軍勢が余す事なく映されていた。


 ねぇ、なんか、私よりダンジョンコアを使いこなしてない?


『ふっふっふ、これから我のエリアに入るのじゃ。イルゼ、楽しみにしているがいい』


 ソラウは不敵に笑うけど控えめに見ても絶対に楽しそうな事なんて起こりそうにないよね?


「きゅうー」

『うむ、わかっておる』


 短くフィズが抗議するように短く鳴く。

 それにソラウは笑顔で頷いていた。


『とりあえずは爆破からじゃろ?』

「きゅ!」


 飛び出したなんとも物騒な言葉にフィズは満足気に頷いていた。

 これは……死人が出る予感しかしない!

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