エルフ、邪魔される
「ここはいいねぇ。誰も私の睡眠を邪魔してきたりしないし」
『まったりー』
『だらだらー』
『だめえるふー』
世界樹の真横にダンジョンコアの力で作り出した巨大な城の一室に置いた超快眠ベッドの上で私と精霊さん達はだらけていた。
なにせここはイーリンスの作ったログハウスじゃないわけだから! イーリンスの許可がなくても物が置けちゃうんだからね。
思ったよりも大きく出来上がった城なわけだけど、イーリンスのログハウスを易々と飲み込むくらいにはデカい。
おかげでログハウスは部屋の一室に置かれているオブジェと化してるし。
それくらいに作った城はデカい。
宝物を集める習性がある竜のフィズは地下の大きな部屋を宝物を集める用のスペースとして陣取り、お宝を集めてるみたいだし、ソラウはというと見晴らしがいいとかの理由から城の天辺の部屋に住み着いてる。
そして精霊さん達は城が珍しいのか騒ぎまくってる。
まあ、私としては睡眠の邪魔をしなければ何をしても構わないんだけどね。
ふわふわの布団はまさに至高の作品。
ふわふわの枕もまた至高の一品。
これがあれば私はいつまででも寝れるよぅ。ご飯食べなくてもいいわけだし。
ふわふわの布団を頭まで被り、柔らかい枕に顔を埋めながら私は再び意識を手放そうとした。
『いるぜー』
『あそぼー』
『たんけんしよー』
私が被った布団の上で精霊さん達がキャーキャーと暴れてるから眠れない。
体を丸めて布団を頭まで被り、無視を決め込もうにも私に伝わる衝撃がどんどん大きくなってるし!
私の上で飛び跳ねておもちゃにするのはやめてほしい。
ここ数日は城の物珍しさに興奮した精霊さん達はずっとこんな調子だ。
『チビ達! 散らかしたら片づけなさいよ!』
そんなわけで城の中は大して物が無かったはずなのにいつの間にか色々持ち込んだ精霊さん達のせいで子供部屋のように散らかり放題。
そしてそんな散らかり放題の空間を綺麗好きのイーリンスが許すわけもなく怒りの魔力と共に怒鳴り散らしてる。
『わぁ、いーりんすだ』
『もんくのねーさんだ』
『にげろー』
『だれが文句の姉さんよ!』
イーリンス、君の声が一番城の中に響いてるよ。
精霊さん達の楽しげな声の後にイーリンスの怒鳴り声と微かな振動が響く。
昨日、ソラウが『どれくらい耐久があるかテストじゃ』とか言って魔法をぶちかましてたけど城は壊れなかったからイーリンスが暴れても問題ないと思うけど暴れないでほしいなぁ。
どんどん城で響く騒音が大きくなっていく。
私の上で遊んでいた精霊さん達もそちらが気になったのか鼻歌を歌いながらそっちに参加しに行ったのか気配がなくなった。
これで安心して眠れる……
『いるぜー』
『ひゅーむいっぱいきたぁ』
『あっちもこっちもいっぱいきてるぅ』
誰だよ! 私の安眠というかぐーたら生活を邪魔するのは!