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聖女、神託が下る

 

「神託が下りました」


 神国ローランド、創造神ロボステリアを崇める大神殿の中、祈りを捧げていた聖女である私、アリスはゆっくりと立ち上がり告げる。


「なんと……」

「やはり王国が壊滅状態になった事で何かが動いているのか」


 私の周りには他にも多数の神官の姿があり、年甲斐もなく慌てふためいていた。

 聖女の告げる神託、これは神国ローランドでは絶対の命令に等しい。

 聖女とは唯一、光の精霊から神託を受け取ることができる存在であり、教会のトップであり、一番純粋な者の額に刻印が現れるのだ。そんな聖女の言葉を疑う事など誰もしない。

 なにより神より授かった命令である。そしてロボステリアを信仰している神官達はその神託を疑うことはない。

 つまり私を疑う事はないのよ。まあ、私も嘘はつかないけど。


 そんな聖女である私は神官達が静かになるのをただ待つ。やがて教会内が静かになったのを確認した私は口を開いた。


「神託の内容は災害の森の主との和平を結べ、というものでした」

「災害の森の主とですか」

「はい」


 神官に尋ね返されたことに私は肯いた。


「災害の森の主?」

「あの森は天災クラスの魔獣が蔓延る森だぞ? 常に縄張りも変わってるし、あの帝国でも手を焼いている場所だぞ」


 それくらい私でも知ってる。

 だからこそ今まで災害の森には主と呼ばれるような魔獣は存在しなかった。

 主が次の日に変わってる事があの森ではよくある事らしいし。


「神託が下ったという事はあの森にも主となりえる存在が姿を現したという事でしょう」

「確かに、最近は帝国の忍が災害の森付近で確認されている」

「森で変化が起きているというわけですな」

「光の精霊はそう言っています」


 私が躊躇いなく頷くのを見て慌てふためいていた神官達も落ち着きを取り戻した。


「では武装神官を直ちに準備いたします」


 和平を結ぶだけなんだからそんなに武力はいらない気がするんだけど……あ!あの森の魔獣を警戒してるわけね。いくら精霊達が敵意が無くても魔獣は襲ってきそうだし。


「では準備をお願いします」

「「「了解しました」」」


 神官達が神殿から去っていくのを見届けた私はため息を一つ吐く。

 自分より年上の人達が言うことを聞いてくれるのは気分がいいけど同時にすごく疲れる。

 そんな私の肩にどこから入り込んだかわからない白い小鳥が止まる。


「これでいいの? リリィ」


 すでに慣れ親しんだその小鳥の頭を手で撫でながら尋ねる。


『そうねー これでリィも久々に他の精霊に会えるわー』


 するとどこか間延びしたような間抜けな声で自分をリィと愛称で呼ぶ小鳥、光の精霊リリィは楽しげに答えてきたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] またもイルゼさんの預かり知らぬところで話が進んでいるような。
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