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エルフ、目覚めても間違える

 

 私は森の中を駆けていた。

 というか飛んでた。

 木から木へと飛び移るくらいは森で生きるエルフには朝飯前。それはぐーたら生活をしたい私であっても楽勝。息をするようなものだ。


 そんな動きたくない私ではあるけども今日は動いていた。


「きゅっきゅ」

『あっち』

『あっちあっち』


 フィズは私の頭上を飛びながら進むべき方向を教えてくれる。そして精霊達も。

 方向音痴の私が一人で森に入ったらすぐに迷うというのは精霊達にも知られてしまったようで彼らも指を指しながら私を導いてくれる。


 動きたくない私が森の中を動き回るのにはちゃんと理由がある。

 それは二日くらい前から森の状態がなんとなくわかるようになったということから話さないといけないわけだけど。


 二日前、いつものようにベッドから放り出されるようにして目を覚ました私は何処かで頭を打ったのか頭の中に森の詳細な図が浮かぶようになった。

 それは木のある位置や動物、魔獣の動きなども分かるようなもので初めは妄想かと思った。

 でもいつまでたっても頭の中に浮かぶ地図みたいなものは消えない。

 だから実験の意味を込めてフィズとファルコーネがお腹が減ったので狩りに行くみたいな感じのうごきをしていたので頭に浮かぶ地図にいたグランドボアのいる位置を気紛れに二匹に教えてみた。

 結果、本当にそこにグランドボアがいたらしく二匹はいとも容易く食事にありつけたと喜んでいた。

 その後も暇そうにしている精霊達に協力してもらい確認を取ってもらう事を繰り返した。

 結果は私の頭に浮かぶ地図に描かれているものは実際に存在する、つまりは私の妄想の産物ではないということが証明されてしまった。


 なんでこんな力が出たのかは全くわからないけど、これを使えば楽に過ごせると喜んでいた私だった。

 だけど、それが今日になって問題が発生していた。


「私のぐーたら生活を邪魔する奴許すまじ」


 この能力を手に入れてから私は朝に一度その地図を見るようにしている。そうしたら自分の敵がどこにいるかすぐ分かるし。

 そして今日、まるで私のぐーたら生活を邪魔するかのように頭のマップの上の方に赤い点が大量に表示されたのだ。

 どうやら私の頭の中の地図には私に敵意のあるのは赤く表示されるらしい。

 これは精霊樹の近くまで魔獣がやってきた時に確認した。まぁ、魔獣は精霊達が一瞬で魔法の雨を降らしてやっつけちゃったんだけどね。


 逆に友好的なのは青く表示されていたんだけど精霊樹の周りの精霊達は私に友好的らしくて青一色になってたため表示は消してある。

 なんとなく地図を見ていた時にあまりに青い表示か多かったから煩わしいなぁと考えたら青い表示は消えた。逆に見たいなぁと思えば再び表示されたりする。

 この地図、私にはとても使い勝手が良いものだ。


 そんなわけで、私は自分の生活を守るためにフィズと精霊達を連れて赤い点に向けて進行中なのだ。

 頭の地図を確認して私は木から木へと飛び移る。

 待ってなさいよ。さっさとぶっ飛ばして昼寝するんだから!


『イルゼ、そっちちがう』

「きゅうー」


 おかしい、地図を見てても道を間違えるのはなんでだろう?

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