エルフ、作る
空飛ぶ絨毯で飛ぶ事二時間くらい。
普通の速さで飛んだわけだけど精霊樹の近くに戻ってきた時には既にアンとトロワはお疲れ状態だった。
「ちょっと休ませてもらいます……」
「トロワもさすがにつかれたかなぁ」
「はい、おやすみなさい」
城に戻ったアンとトロワはフラフラとおぼつかない足取りだったけど部屋の方へと歩いて行った。
まあ、私も魔力が少ないから体の気だるさは感じてるからさっさと寝たい。
いや、私のやる気とイメージが固まってる内に作り上げてしまおう。
私専用の魔導具を。
精霊樹の魔力とダンジョンコアの力、そして精霊さん達の助言を得た私は自分の身をも守ることのでき魔道具の作成を開始し、二時間ほどで作り終えた。
出来上がった魔導具は指輪の形をしており、これで私の守りは完璧だと自負できる作品だね。
作った指輪を指へと嵌めて満足げに頷く。
「はぁ、疲れた」
『帰ってくるなり部屋に引きこもって何か作り出したと思えば、終わった矢先の第一声がそれ?』
アヴェイロンの森の中央。
精霊樹と合体するように建てられている城の自室のベッドへと座り込んだ。
あ〜やっぱり帝国の椅子なんかよりも座り心地はうちのベッドの方が心地よいよ〜
そんな私を呆れた様な目で見ているのはお留守番をしていたイーリンスだ。
「いや、だって帝国まで行って寝具手に入らなかったんだよ?」
『観光に行ったんじゃなかったの……』
なんかイーリンスが頭を抱えてる。
いや、観光だったんだよ? でもヴィの奴は働きたくなかった私を働かせたんだよ? しかも報酬はなしで!
なんか今思い出しても腹が立ってきたので留守番していた精霊さん達が作ったとかいうお酒を取り出す。なんか綺麗なガラスの中に透明な液体が入ってるけど美味しいのかな?
お酒って飲んだ事ないんだけど。
『帝国がボロボロだったんでしょ? 多少は待ってあげたらよかったじゃない』
「え、いやだし」
待つなんてやだし。私が寝てる間に準備をしておいてくれるならまだしもね。
蓋を開けてガラスの中身である透明なお酒を一気に飲む。
いたぁ⁉︎ なんかノドが痛いんだけど⁉︎
『子供みたいな返答をしない! 百四十歳でしょ!』
「エルフの百四十歳なんて子供なんですぅー」
あとなんか頭がふわふわとしている様な感じが……
んー? 何を考えてたんだっけ?
あー、もういいや!
「とりあえず! 私は寝るからね!」
着ていた服を脱ぎ散らかして裸になった私はシーツで頭から包むとベッドへと横になる。
もう私は誰が何と言おうと今から寝るんだからね!
三日は起きる気はない。
『はぁ、好きにしたらいいわ。なんか届いてた手紙があるけどここに置いとくわ』
私に何を言っても無駄だと悟ったらしいイーリンスは何かをテーブルの上に置いて部屋から出て行った。
そうして私は目を閉じて数秒で夢の世界に旅立つのだった。
テーブルの上に置かれた手紙の事など忘れて。