エルフ、視認される
粉砕して爆発してさらに爆発する。
雨霰のごとく降り注ぐ武器が恐ろしい勢いでスケルトンドラゴンへと直撃していく。
そしてやっぱり精霊さん達の武器はおかしい。ただ魔力が篭っただけの武器がスケルトンドラゴンに当たるたびに何処かしら吹き飛んでるように見える。
でもスケルトンドラゴンも負けてはいない。攻撃されるたびに吹き飛んではいるけどなんか再生してるらしくて腕が吹き飛んだなぁと見ている次の瞬間には瞬時に再生してその腕で近接戦闘を開始した精霊さん達に攻撃を仕掛けていた。
なんて無駄に強い再生能力と感心すると同時にめんどくさいので大きくため息をついた。
「あんなのがもう一体いるしなー」
精霊さん達の攻撃で再生速度よりほんの少しだけ攻撃の蓄積が多いってくらいだからなぁ。
長期戦にならざる得ない。
つまり残り一体をどうにかしなくちゃいけない。
「帝国騎士、当てにならなそうだし」
魔力で強化してもう一体いるスケルトンドラゴンの方を見ると帝国の騎士や多分魔法使いと思われる方々が攻撃を仕掛けてはいる。まぁ、全くダメージは食らってないみたいだけど。
側から見ていても良くわかるくらいに絶望的な戦いだ。
「なんか面倒だなぁ」
このスケルトンドラゴンが自然発生したのかどうかわからないけど反乱軍が仕掛けてきているのなら私が何とかしないとヴィから寝具が貰えないし。
いや、でも面倒だし……
面倒ごとは放って森に帰るってのも一つの手だよね。
「ここはいっそ逃げるか」
戦うのはダルいし面倒だからさ。
持久戦なら精霊さん達は勝てるわけだし私が戦う必要はないよね。
だったら楽な方を取るか!
『いるぜー』
『かえる?』
『ごーほーむてきな?』
戦う気なんてないらしい私の周りを飛び回る精霊さん達が興味を向けてきた。
この子達は多分、帝国に飽きたんだろうなぁ。
「うん、飽きたし。面倒だし」
アンとトロワは森に帰る気があるなら連れて帰るしね。フィズは最悪召喚したらいいし、精霊さん達は気が向いたら帰ってくるんじゃないかなぁ。
『たぶん』
『かんたんにはかえれないかなぁ』
『こっちみてるし』
「え?」
精霊さん達がやれやれといった姿を見せてるわけだけど、私が視線を精霊さん達が向いてる方を見るともう一体のスケルトンドラゴンがばっちり私の方を見ていた。
あ、確かに簡単に逃してくれそうにないかなぁ。