エルフ、とどめをさす
放たれたエレキキュールは壊れていく空間へと直撃し、青白い火花を弾けさせた。
おお? さっきの盗賊みたいに分解されてない。なんとなく拮抗してるような感じ?
徐々に壊れていっていた空間がフィズのエレキキュールによって止まってる。
『ふぃずのまほうとごかくだぁ』
『いまのうちにいるぜまりょくためて!』
体に纏っていた魔力を解き、走るのを止めて勢いを土煙を上げながら殺して停止。
素早く体を反転させながら腰の精霊樹剣へと魔力を流しながら鞘から抜き放つ。
「ふむ、魔力による攻撃なら儂も手助けしよう」
生贄にされないと判断したらしいおじいちゃんも駆けるのを止めると私と同じように身を翻して腰の二本の魔剣を抜き、魔力を流してた。
おじいちゃんの魔剣、魔力を流すと炎と氷が発生するから見た目がカッコいいんだよね。
私の魔剣と言っていいのかわからない精霊樹剣は凄いけど見た目地味だし。今度もっと派手な演出ができるように精霊さんに頼もう。
「氷炎螺旋!」
おじいちゃんがかっこよさげなおそらくは技名を叫びながら二振りの魔剣を振るう。
するとおじいちゃんの魔力を吸ったらしい魔剣から炎と氷が螺旋を描きながら放たれた!
「かっこいい!」
なにあの技! 私もしたい!
『むだわざだよね?』
『なんでほのおとこおりをいっしょにだすし』
『ほのおのほうにまりょくがおおいからこおりとけてるね』
『じっしつほのおだけー』
精霊さんは残酷だった。
…… かっこいいんだから放っておいてあげなよ。
夢がないなぁ。おじいちゃん涙目だよ。私も気付いたけど言わなかったのに。
そんなおじいちゃんの無駄に威力が半減している魔力もフィズのエレキキュールと共に壊れていく空間にぶち当たってはいるんだけど……
「なんかフィズが一人でやってるのと効果変わらないね」
『いりょくが!』
『いみのないまりょくで!』
『はんげんしてるからぁ!』
「ぐふぅ!」
あ、おじいちゃんが吐血して倒れた!
歳のわりに無理をするから!
「いいじゃないか、かっこいいんだから。儂だって煌びやかに戦いたいんじゃ。儂、強いんじゃから多少はっちゃけてもいいじゃろうが」
なんか倒れてぶつぶつ言ってるし。怖いよおじいちゃん。血吐いてるし。
とりあえずなんか言葉を掛けないとうじうじと吐血を続けるおじいちゃんを見続けないといけないわけか。
「ま、魔力の無駄遣いしたくらいドンマイ!」
「げふぅ⁉︎」
慰めの言葉を掛けたらおじいちゃんの吐血が酷くなった⁉︎ 何で⁉︎
『あーあ』
『いるぜがとどめさしたよね』
『ことばのないふえっぐ』
私が悪いの⁉︎