エルフ、爆発を見る
『きたよ』
『きたきた』
「んあ、なにが?」
精霊達の声に私は目を覚ました。
何かが来たみたいな言い方だったけど……
ああ、そう言えば誰かがこっちに向かってきてたんだったね。
まだ結構遠いところから音が聞こえてきてて水浴びしてもまだ時間が余ってたから椅子に座って寝てたんだった。
という事は来たというのは足音の人達が来たって事なのかな。
眼をこすりながら立ち上がって泉の近くに行って顔を洗う。それだけでかなりスッキリする。
森の方を見たら位置は違うけどまだ爆発音がしてたり竜巻が発生したりしてるからまだソラウや精霊達が暴れてるのかなぁ。
精霊達も特に慌ててる感じもしないから致命的な出来事は起こってないだろうけど。
「もう来るのかな?」
『もうちょいかなぁ』
精霊に確認を取るともう少しらしい。
正直な話、今から来るのは服とかが交換できる商人さんなわけでもないから会う必要が全然ないんだけどね。
「面倒だし、君たちが相手しない?」
別に私が相手をする必要はないわけだし、精霊に相手を任せても問題ないはずだよね。
『ばくはつさせていいの?』
だめだ、任せるととんでもないことをしでかしそうな気がする。
仕方がないから相手するしかないのかぁ。
でも、人間との会話って何を話したらいいのかなぁ。
天気の話とか?
『きたよー』
頭を傾げて話題を考えているとついに人間の皆さんがやってきたみたいだ。
やっぱり天気の話題からかな! 他にどんな話をすればいいかわからないしね。
顔を上げて足音がなる方へと視線を向けると森の奥から傷を負った人達がゾロゾロと姿を見せた。
『あ、あのへんあぶないよ?』
「え?」
私の横で飛んでいた精霊の一人が姿を見せた人達を指差してそんなことを言ったので私は精霊の方へと振り返った。
「なにが危ないの?」
『あのへんはねー』
『ふんだらバーンってなるのをいっぱいうめといたの』
「踏んだらバーン?」
舌足らずな精霊は可愛らしいけど出てきた単語は何やら恐ろしい物っぽい。
踏んだらバーンってつまり爆発するってことでしょ?
『きまもるためにうめといたー』
『いっぱいうめたねー』
『ソラウさまとフィズさまもやってたねー』
『のるまはいちにち十こー』
あの二人もやってたのか……
しかも一日十個ってあそびかんかくでしてたんだろうなぁ。
というか精霊達よ。なぜソラウとフィズの二人は様付けで私だけイルゼって呼び捨てなのかな?
私は様付けの二人の契約者なのにおかしいなー
『イルゼはイルゼだから?』
うん、よくわからないよ精霊さん。
「「「ギャァァァァァァァァァァァ!」」」
精霊達の物言いが理解できないので苦笑していると人の悲鳴と爆発音が耳に入り、森の方へと再び視線を戻すと人が空を飛んでいた。