エルフ、摘む
「人のシマで荒稼ぎしようとするからこうなるんだぜ?」
なんかドヤ顔ね。ついでにまるで私が死んだみたいな物言い。
確かにいきなり凄い衝撃が胸に響いたからかなり驚いたし、吹き飛んだりしたけど咄嗟に体を風の魔力で覆ったから無傷なんだけど……
ま、衝撃は想像以上だったから私は今倒れているわけだけど。
「あとはこの周りで飛んでるやつだな。こいつらも捕まえとけ。高く売れそうだ」
「へへ、了解だぜ」
男が指示を出すとどこからか虫取り網を手にした連中が姿を現し、虫取り網を精霊さんにむかって振り回してる。
「ちょこまか逃げるな!」
『おそいおそい』
『つかまらないよー』
男達は必死だけど精霊さん達からしたら遊んでいるような感じなんだろうなぁ。
私も体を起こしましたがなんか当たった所が折れてはないようですが鈍い痛みを発してる。
風の魔力で完全に防げなかったみたい。今度はもっと魔力を注いだ方が良さそうだ。
「な、なんで生きてやがる⁉︎」
起き上がって体の調子を確かめていると私に筒を向けた男が驚いたような表情を浮かべていた。
「当たってないからだけど?」
『そんなんじゃいるぜはしなないよ?』
『きんじゅとかしんじゅくらすじゃないとね』
禁呪とか神呪なんか喰らったら普通は死ぬから。それも肉片一つ残らず消え去っちゃうから。
まあ、それを抜きにしてももうあの筒の攻撃は私には通じないけどね。体の周りを覆う風の魔力を増やしたし。
でもあれ、面白そうですよね。
「くそ! こいつらを殺せ!」
男が命令を出すと虫取り網を振り回して精霊さん達を追いかけていた男達が虫取り網を放り投げて私の方を向くと、懐へと手を入れてさっき私に向かって何かを撃ってきたであろう筒を取り出してはこちらに爆音を響かせながら何かを放ってきています。
「これなんなんだろ?」
次々に爆音が響くたびに私の風の魔力へと何かがぶつかるような感覚があるけど、さっきよりも強化されている風の鎧を纏った私は飛んできた物を軽々と受け止める。
飛んできた物を一つを指で摘んで取ってみると小さな鉄の塊のようだし。
『いるぜー』
『やりかえさないの?』
「あー、適当にやり返していいよ。あ、初めの男だけ殺さないでね」
どうやって鉄の塊を飛ばしているのかを考えていると精霊さん達が退屈しだしたから反撃の許可をだしておく。
あの男だけはなんか偉そうだから色々と知ってそうだし。
『じゃ、はんごろし?』
『はちわりごろし?』
『てかげんしなくてよくね?』
『ここにいるにんずうのはんぶんころしてはんごろし?』
『『『さいよう』』』
……死なない程度にお願いするよ?