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エルフ、飛ばされる

 

「はっ! ここは?」


 お腹のズキズキとした痛みのせいか目が覚めた私は飛び起きると周りを見渡したけど全く見たことがない場所だった。

 とりあえず、太い木が多いから森だということはわかる。あと人の気配が全くない。

 今まで住んでた森じゃないというのはよくわかる。


「どこ?」


 首を傾げて再び見渡すわけだけど全くわからない。

 ふと足元を見ると小さなリュックが一つとなにかが書かれた紙が貼り付けてあった。


「これは?」


 私は屈み込み、リュックに貼り付けてあった紙を取る。そこに書かれているのはエルフ文字で多分お母様の字だろう。


『イルゼへ。これを見ている時お母さんはもうそこにはいないと思います』

「そりゃ私をどこかにやったわけだしね?」


 相変わらずズレているお母様に私はこんな状況だけど苦笑してしまう。


『お父さんがどこか遠くに魔法で飛ばして一人で生活させろと言ったので五分で考えた転移魔法で飛ばしてみました。どこに飛ばしたかわかりませんが木の中や土の中に転移してたらごめんなさい』


 慌てて私は自分の体を触り、どこも埋まっていないかを確認した。

 よかった体は無事だ。というか五分で考えた魔法を実の娘で試すなんてうちのお母様は頭がおかしい気がする。

 とりあえずは無事であることにほっとした私は再び紙へと眼を落とした。


『とりあえず、何もないとサバイバル生活などしたことのないイルゼは多分すぐに死んじゃうんじゃないかと思ってリュックに色々と入れておきました。それを活用して頑張って生きてくださいね。お母さんより』

「さすがお母様、お父様とは違うね」


『追伸、この手紙は読み終わると周囲を巻き込んで爆発します』


 私は読み終わった手紙を慌てて放り投げ、足元のリュックを手に全力で後ろへと飛ぶ。

 手紙の表面になにやら色々と文字が浮かび上がり、魔力が集まっているのを認識した瞬間、手紙が爆音と衝撃波を同時に周囲にまき散らした。

 爆発する寸前に大木の後ろに隠れることが出来た私は衝撃に晒されることはなかったけど手紙が爆発した周囲は草木は吹き飛んで何もなくなっていた。


「お母様、殺す気ですか……」


 手紙が爆発して出来上がった惨状を見た私は無意識に呟いてた。

 お茶目とかそんなレベルではなかったよ。一歩間違えたら死んでたし……


 とりあえずこの場を離れるべく私は小さなリュックを片手に少しばかり歩く。こんな爆音を響かしたら獣がいつ集まって来てもおかしくない。それにこんな獣に見られているような場所で荷物を広げるわけにはいかないしね。

 ジロジロと見られてるのはわかる。なんか視線感じるし。

 多分だけど狼かな? なんか群れっぽい。私が動くと一定の距離を保って付いてきてるし。


 そんな狼は無視してズンズン歩く。

 お父様には引きこもりと呼ばれた私だけども仮にも森の民であるエルフ。私には森の中は悪路とも呼べない。普通の道を歩くようにスタスタと歩くことができる。

 やがて狼たちが私を追いかける速度よりも私が森を歩く速度が上回ったのか狼たちは私を追うのをやめたようだった。


「この辺でいいかな」


 しばらく歩き続けると少し開けた場所に出た。それなりに大きな水溜り、というか泉があった。覗き込んだら私のセミロングの金色の髪と琥珀色の瞳が映るくらいに澄んでるから飲み水としても大丈夫なはず。


 飲み水を確保できたところで早速リュックをひっくり返してみた。

 リュックの中から転がり出てきたものは三つ。


 一つはリンゴ。

 お腹が減ってはいけないという配慮かな。


 二つ目は木の枝。

 何に使うか不明。


 三つ目はキラキラした球体みたい。

 何かすらわからない。


 以上。


「え、これでどうしろというの?」


 使えるものがない。というかリンゴも一つしか入ってないし食料というかおやつにもなりゃしない。


 ここで死ねと言うのですかぁ……


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