エルフ、登る
「三日、一日経ったからあと二日、暇だよね」
『ひまひまー』
『ひるねする?』
帝国が一望できる高さの建物、教会の天辺へと登り、
、座って景色を眺めている私と精霊さん。
アン、トロワ、フィズは城の中にいるわけだけど私はあんなとこにずっとはいられないよ。
初めは城の中で待とうかと思ったんだけどなんか気持ち悪い視線を感じたり、やたらと気持ち悪い笑顔を浮かべて話しかけてくる人がいたりするから外に出ることにしたんだよね。ヴィは嫌そうな顔をしてたけどそこに配慮する気はない。
「たまに天井からも視線感じたしね」
『なんかいたよね』
『しばらくみてるとけはいきえてたけど』
街をぶらついている時にも何やら監視しているような視線を感じていましたから視線から逃げるようにして一番高い所に来たんですよね。
「さすがにここで寝るのはこわいかな?」
『へたしたらおちるしねー』
『うまるんじゃない?』
仮に寝ぼけて落ちても死なないと思うけど絶対痛いよね。
いや、そもそも精霊さん達は空飛びながら寝てるの見たことあるし落ちないよね?
でも埋まるってのは確かにあり得そうだ。
『いるぜいつまでここにいるのー』
『たいくつー』
『ひつけていい?』
『たまにはひあそびしたーい』
「ダメ」
さらっと放火しようとしないでほしい。
精霊さんがする火遊びとか想像がつきませんし。火遊びとかそういうレベルじゃなくなる気がする。
アヴェイロンの森は樹がたくさんありますけどそのほとんどが魔力を帯びて燃えにくい樹だとかイーリンスが言ってましたしね。だから精霊さんの魔法でも火事なんて起こらなかったんですけど……帝国とかアヴェイロンの森より遥かに燃えやすそうな建物が一杯あるね。
「一時間あれば火の海になりそう……」
『みたい?』
「見たら私も燃えそうだから嫌です」
どう考えても普通の火事では終わりそうにないですし。巻き込まれる未来まで見えます。あっという間にエルフの燻製が出来上がりそう。ま、その前に逃げるけど。
『それじゃどうするの?』
『のこりふつかたかいとこにいるのいやー』
「私の事は気にせず遊びにいけばいいんじゃない? 節度を考えて」
別に私に付き合う必要はありませんし。
めちゃくちゃに暴れなければ私も特に干渉しようとは思いませんし。
『んー』
『なんかいるぜのそばにいるほうが』
『おもしろいことがおきそうなかんじがするの!』
「曖昧な勘ですね」
でも精霊さん達の言う通りここにずっといるのも暇です。昼寝もできないですし。
『いるぜーここいこう』
『なんかいっぱいくばってたー』
『わくわくなよかん!』
私がこれからどうするか考えていると周りで遊んでいた精霊さん達が紙を手に飛んできました。
「カジノドロップ?」
受け取った紙にはキラキラとした絵が描かれていたのでした。