エルフ、手にする
読んでいただきありがとうございます。
なんだかんだで連載し始めて一年経ちました
『こっちになんたいかくるー』
「そうだね」
空を飛ぶワイバーン十体の内七体はフィズと戦闘に入ってるわけだけど、三体ほどがこちらに向きってきてるみたい。
そんなワイバーンを見て精霊さん達もやる気を漲らしてるし。
というか何体かの精霊さんは『かちこたみじゃー』『たまとったるー』などとよくわからない事を叫びながらすでに突撃してるし。
「精霊さん、倒すなら殺しちゃだめだからかね?」
『む』
『いるぜしんようしてなーい』
『ぼくたちもせいちょうするのです』
いまいち信用できないし。
とりあえずは声をかけてないと残ってる精霊さん達ならやらかしかねない。
『だったらいるぜがやる?』
『そらうさまからかえしてもらったけんでたたかう?』
『ぼくたちがわたしたのでもいいよ!』
あー、確かに被害を出さないという意味では私が戦うのが一番な気がします。
私の腰にはソラウから返してもらった剣と精霊さん達が作り上げた武器が吊り下がってる。
ただ、精霊界で謹慎中のソラウから返却された剣、武具精霊、黒騎士を呼び出した魔王の剣なんだけど明らかにヤバい感じが増してる。
黒騎士を喚び出すことも出来そうだけど前より絶対危ない感じがする。
そしてヤバさだけでいうなら精霊さん達が作ってくれた武器もかなりヤバい。
形は剣の柄みたいな物で刃はない。でも素材がまずい。精霊樹の樹を加工して作ったって言ってた謎武器は一体どんな効果があるかかもわからない物だし。
「とりあえず黒騎士を喚ぶのはなしだね」
私は空飛ぶブーツの効果で空を飛んでるわけだけど、空を飛ぶ能力なんてない黒騎士をここで喚んだらそのまま落下して潰れそうだし。
「そうなると精霊さんクオリティの武器を使うしかっと!」
精霊樹の素材で作られた武器を使うか躊躇っているとワイバーンがこちらに向かって飛んできた。ついでに上に乗ってるらしい騎士も手にしてる槍を突き出してきたから空飛ぶブーツで空を蹴って飛び上がる事で躱す。
「なんて禍々しい魔力の武器なんだ! あれが陛下が同盟を結んだエルフなのか⁉︎」
「魔族の間違いだろ!」
なんかすれ違いざまに言ってましたが凄い速さでワイバーンが距離を取ったので何を言ってたのかわからないね。
『そのぶきは』
『まんぞくできるくおりてぃ』
『つよいよ?』
『たぶんせいけんよりー』
「そ、そうですか」
余計使い辛い!
聖剣って振るったらなんか色々出てたし。これも振ったらなんか出るの⁉︎
『ちなみになまえは「せいれいじゅけんそらかろん」といいます』
「精霊樹剣はわかりますけどソラカロン? なんか名前の由来あるの?」
『んーん』
『そらうさまがまかろんたべてるときにむせたからそのにゅあんすで』
よくわからないネーミングだった。
『つかってつかって』
『まりょくこめてふるだけだから』
いや、あの、今襲われてるんですけど……
私が身動き取れないくらいに密集するのはやめてほしい。
あ、飛んできたワイバーンが精霊さんに蹴飛ばされてる。
「わ、わかった。わかったから!」
『やったー!』
『いるぜすきー』
『いるぜちょろーい』
精霊さん達の相手でかなり疲れた私は精霊さん達の言葉になにも返さずにソラカロンを手にするのでした。