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エルフ、喚かれる

 

「とりあえず、雨風をしのげる場所は確保できた」

「きゅー」


 ランダム召喚で出てきた割には意外としっかりとした作りをしているログハウスの中で私は安堵の息を漏らした。

 そんな私の言葉に頷くフィズの声には心なしか元気がない。そりゃ不出来とは言え頑張って作った小屋を押しつぶす形で出来のいいログハウスが姿を表したらそうなるよね。

 ごめんよフィズ。まさか一発で目当ての物を召喚できるなんて思ってなかったんだよ。

 そしてそれが小屋を潰すなんて想像もしてなかったんだ。

 ここはなんとしてもフィズのテンションを上げとかないと! 契約者として!


「でもログハウスができた事だし、これでフィズもあんな穴じゃなくて宝物を集める部屋ができたね!」

「! きゅきゅ!」


 ちょろい。ちょろすぎるよフィズ。

 まあ、部屋はそれなりにあるみたいだし一つをフィズの部屋にすれば問題ないだろうしね。

 汚い部屋にならないように定期的に掃除すれば大丈夫だよね? 集めすぎて床抜けないよね?


「のうのう」

「ん、なに?」


 フィズが嬉しそうに尻尾を振りながらよちよちと歩いている姿を頰を緩ませながら見ていたらソラウが私の服の裾を引っ張りこちらを見ていた。


「我の部屋は?」

「え、精霊って部屋いるの?」


 霊体化できるから部屋なんていらないと思ってたよ。


「そ、それは差別じゃないか⁉︎ 精霊だって部屋があったら嬉しいんじゃぞ⁉︎」

「わ、わかったよ」


 凄い勢いでソラウが詰め寄ってきたので思わず仰け反ってしまった。


「そもそもランダム召喚を使う事を提案したのは我じゃぞ! もっと我に感謝の念を見せてもいいはずじゃ!」

「それはそうだけどさ」


 だってソラウは感謝すると凄く調子に乗ってうざくなるからなぁ。


「だから我にも部屋を使う権利が発生するはずじゃ!」

「わかった。わかったから顔近づけて喚かないで」

「わかればいいのじゃ」


 ソラウが近くで馬鹿みたいに大きな声で喚くものだから耳が痛くなるよ。

 部屋ならまだ一杯あるみたいだしソラウに一部屋渡しても問題は無さそうだからね。後、精霊の部屋ってどんな風になるのか気になるし。


 満足気に頷いたソラウはフィズと同じようにウキウキとした様子で部屋を選ぶべく移動を開始していた。

 しかし、その途中で何かを思い出したかのように足を止めると私の方へと振り返ってきた。


「忘れておったがお主、ちゃんと契約しておくのじゃぞ?」

「何と? 精霊なら貴方がいるから契約できないじゃない」


 みんなソラウにビビっちゃってるからね。契約してくれないんだよ。


「違う違う。うーむ、まだ自我が目覚めておらんのじゃろうな。しかし、精霊樹が側にあるわけじゃし、時期が来ればわかるじゃろうからしっかりと契約するんじゃぞ?」


 我の部屋のためにもな! とソラウは意味不明な事を言うとソラウはフィズが入った部屋へと突入していった。


「こら小粒! ここは一番日当たりがいいから我の部屋じゃ!」

「きゅー! きゅー!」


 部屋の中から部屋の所有権を巡る争う音が聞こえてきたので私は手頃な部屋の扉を開けて中に入ることにする。

 部屋の中にはベッドが一つあるだけだったけど地面や床で寝るのと比べるとかなりの差があるからラッキーだよね。

 備え付けられている窓からは精霊樹の姿が見え、周りには精霊樹から生まれたらしい精霊の姿、背に羽根を生やした手乗りサイズの小人が楽し気に浮かんでいるのが見えた。

人と同じ大きさであるソラウとは違うんだなぁ。


「よし、寝よう!」


 他の部屋からバタバタと暴れるような音が聞こえてきたわけど私は服を脱ぎベッドに飛び込むとあっさりと意識を手放したのだった。

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