魔王、加担する
『だーくえるふ?』
『だーくなえるふ? つまりはえるふのともだち?』
『つまりいるぜのともだち?』
ふわふわと私の周りを飛び回りながら精霊さん達は頭に疑問符を浮かべながらも何故か楽しそうだ。
「よくわかった」
『まあ、我、大精霊じゃからな!』
青い大精霊、確かソラウと呼ばれていたっけ?が胸を逸らして威張るようにしてる。
『そらうさまー』
『だーくえるふってなにー?』
私に関心を持ったらしい精霊さん達が私の周りを飛び回りながら大精霊へと質問していた。
『ふむ、ダークエルフとは簡単に言えばエルフと他の亜人との間に生まれた子の事を指すんじゃ』
『へー』
『しらなかった』
『んー? でもひゅーむとのあいだにうまれたこは?』
しきりに感心していた精霊さん達だけど一人の精霊さんが疑問を口にした事で再びソラウへと視線が集まった。
『うむ、人間とエルフの間に生まれた子供はエルフの容姿を持ちながらエルフの力を半分だけ受け継いでいるハーフエルフと呼ばれるんじゃ。じゃが亜人とエルフの間に生まれた子は亜人の特殊能力とエルフの力を受け継ぎダークエルフと呼ばれるんじゃ。容姿はエルフの容姿なんじゃがエルフ特有の尖った耳と亜人側の耳の四つの耳という特色が色濃く出るのじゃ。見たところその娘は狼系の亜人とエルフとの間に生まれたんじゃろ。……なんか他にも混じってそうじゃが』
「ん、半分正解」
ソラウが言うように私は狼の亜人である父とエルフの母の間に生まれたわけだけど私の能力は父の能力なんて遥かに超えてる。
大体の連中は私の頭の上の狼の耳を見てバカにしたりするんだけど
『ふむ、まあ詮索する気はないからのう。じゃがなんでお主らの城を攻めておる我らの所に来ておるんじゃ?』
その言葉に楽しげに飛び回っていた精霊さん達が瞬時に硬直したように動きを止めてゆっくりと距離を取り始めていた。
『だーくえるふさん、てき?』
『しゅうげき?』
『きしゅうだ!』
すでに敵認定をしたらしい精霊さんが先程まで使っていたらしい黒い筒を肩に担いで穴の空いてる方を私へと向けてきた。
「私なにもしてないけど」
とりあえず、なにもする気がないという意志を見せるために手を挙げておく。
『そういえば……』
『あいさつしながらでてきたし』
『きしゅうするならむごんでどすっとやれっていーりんすいってたよ』
筒を構えている精霊さん達も思い出したのか首を傾げてる。なんか物騒な事を言ってる精霊さんもいるけど。
うん、でも可愛いな。
『敵意がないから放っておいたんじゃが姿を見せたからのう。なんの用か気になったのじゃ』
「精霊見にきた」
別に襲おうと思ったわけじゃない。
まあ、ターナトスやマカーレフを追い詰めた存在なら私も全力で戦えるかなと思ったけど、精霊さん、すっごく可愛いし。
『ふむ、見た感想は?』
「可愛いから一緒に遊ぼ?」
『『『『いいよ!』』』』
即座に精霊さん達は大声で返事をしてくれた。すでにそこには奇襲を心配する様子も見られない。いや、そんな事しないけど簡単に騙されそうで心配になるよ。
こうして私は自分の住んでる場所を攻撃するという遊びに参加する事にしたのだった。