大精霊、待つ
『よし、宣戦布告はしたわけじゃ! あとは待つだけじゃな』
宣戦布告をしてきた精霊が帰ってきたのを確認した我はニヤリという音を鳴らすように口元を歪めて笑う。
『そらうさまー、なんでいちじかんもまつんですか?』
精霊の一人が音を立てながら手を挙げて質問してきた。
うむ、元気があることはよろしい。
『向こうにも準備時間がいるじゃろ? それに抵抗はあればあるほど面白いじゃろ?』
『『『なるほど!』』』
無抵抗な奴らを一方的に攻撃するなんぞ退屈じゃからな。こやつらも退屈なのは嫌じゃろうしな。
戦いは両方に戦うという意志がなければいかんよ。
まあ一応、警告はしとかんとダメじゃからな。
戦いたくない奴というのもいるのを我は知っとるわけじゃし。
契約者であるイルゼなんて戦いたくない奴筆頭じゃな。
なにせ面倒くさがりじゃし。その割にキレると我とかが引くくらいにヤバいし。
過去に一度だけキレたイルゼを見たことがあるがアレはヤバかったからのう。
そんなことがあるから何も無しに攻撃したらイルゼとかイーリンスの奴に何か言われそうじゃしな。
イルゼはキレさせんようにせんとな。
まあ、大体の事はイルゼなら笑って許してくれそうじゃがイーリンスの奴は絶対に煩いじゃろうし、暫くぐちぐちと言ってきそうじゃし。
あとはどれくらいの連中が残るのかが問題じゃな。
さっきの精霊による警告で大半が逃げ出すなんてことにならなければいいんじゃが。
下手に逃げだされると的が減ってしまうから全力で抵抗して欲しいんじゃがなぁ。
『中にいるのは適当に攻撃してもいいからのう』
『やったー』
『しんさくためせるね』
『いっぱいつかおう』
なんか精霊達がウキウキとした様子で背負っているカバンからなんか色々と明らかに入らないような大きさの物まで取り出してるんじゃが……
我から見てもかなーり物騒な物も目に入ってるんじゃが見なかった事にしておこう。
『では一時間経てば攻撃開始じゃ。なるべく殺さんようにするんじゃぞ?』
我の言葉に精霊達の動きが止まる。なんでそこで、信じられんものを見るような眼で我の方を見るんじゃ?
我だって時と場合を考えるわ。
そこ、『そらうさまわるいものたべた?』と心配するでないわ!
我は一応手加減ができるが精霊達はちと怪しいからのう。一応釘を刺しておかんと。こやつらなら容赦なく魔法の連発で吹き飛ばしそうじゃしな。
『まかせてー』
『しぬよりもつらいめにあわすー』
『はちわりごろし?』
しばらくして笑顔でそんな事を言いながら準備を再開する精霊達。
うん、殺しそうじゃのう。八割とか殺したら死ぬしかないし。
ウキウキと浮かれた様子で武器というか兵器を取り出している精霊達を見ながら我は溜息を吐いた。