来客編、裏側 エルフ、書く
私の名前はアン、帝国に所属するエルフ。そして相棒とも言えるトロワ。こちらも私と同じように帝国に所属しているエルフです。
エルフというのは基本的には閉鎖的な種族で森から出ようとはしないのですが、私とトロワは人の世界に興味があったので森の外に出ることにしたのです。
外での生活は基本的に能力値が高いエルフなので問題なく送れましたし、大陸で一番大きな国である帝国で事務が出来る侍女として重宝されたのでそれなりにもうけれるようにもなりました。
そんな折に私とトロワは皇帝陛下に呼び出されてお供を命じられました。
なんでも超危険地帯である災害の森のど真ん中に世界樹がいきなり現れたらしく、そこにエルフが住んでいるのでエルフの作法などはわからないのでついてきて欲しいという事らしいです。
凄まじくめんど…… んん! 名誉な事ではありますが不安でしかありません。
「同じエルフなんだったらなるようになるっしょ」
相方であるトロワは能天気ですからカラカラと笑ってます。
いえ、災害の森の時点で嫌な予感しかしないわけです。
あそこは高位の魔法使いや騎士ですら近づいたら死ぬと言われてる場所なんですから、そんなところに住むエルフなんて絶対に唯のエルフなわけないんです!
幸いにも私たちは戦闘要員ではなく、陛下の身の回りの侍女としての同行ですから死ぬリスクは少ないはずです。
帝国最強の騎士のレオン様も皇帝陛下の護衛の為に騎士団を動かすそうですし、身の安全は保証されているはずです。
なぜか遺書は書いておくようにと侍女長から紙を渡されましたが、死ににいくわけじゃないですよね?
いえ、陛下、死んだ後の遺族への補償金の事なんて聞いてないんです! 私達安全なんですよね⁉︎
皇帝陛下は苦笑いですし、その場にいたレオン様に限っては残像が見える速度で顔を背けてましたよ……
もし、私達が襲われるような事があればトロワの首を締め上げてでも離脱してやります。
外の世界は好きですが死にたいわけではありませんし。
危険地帯に住んでいるというエルフには興味は湧きます。
きっと戦闘能力に特化したエルフなんでしょう。
基本、見目麗しいのがエルフですがあんな危険地帯に住んでいるんですから異形な姿なのかもしれませんね。
はぁ、死ぬかもしれないんですから楽しんでいきましょうか。
……とりあえず一応遺書を書いときますか。