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エルフ、手放す

 

『制御出来んもんを作るでないわ!』

『あんな物、この場に落としたら森が消し飛びますよ!』


 風が吹き荒れて唸る中、ソラウとイーリンスが風の音に負けないように大声で叫ぶ。


 だよねぇ?

 このやばい規模の魔法を発動させたらぶつけた場所は削り飛ばされるってことくらい、疎い私でも分かる。


 本来、これをぶつける予定であったリリィはというと私の前で白眼を向いて気絶してるし。

 となるとこれは無用なわけで、


「どっか適当に放り投げよう」

「「それはやめて!」」


 私が思いついた名案をヴィとアリスはすかさず却下してきた。

 いや、私もこんな危ないものは手元に置いておきたくないんだけど。

 意識してみると完全に制御は出来ないけど放つ方向くらいは指定できるみたいだし、最悪の展開は逃れることはできそう。というか今でさえかなりギリギリな気がする。


「今の大きさならまだ動かせるけどどうしよ」

「そんなのぶつかったら帝国消えるよ!」

「神国だって消えますよ!」

「消えてもいい国とかない?」

「「物騒すぎるし!」」


 あれもダメ、これもダメって。

 わがまますぎますよね!


「面倒だし、あっち方面にぶん投げて……」

「だからやめてぇぇ!」


 ヴィが必死の形相で私の腰にしがみついてきた。

 一瞬で移動してきたけどどうやったんだろ?

 あ、こっちって帝国がある方ね?


『あの集まっておる風を上空で弾けさせるのはどうじゃ?』

『あれだけの密度の風です。弾けさせたらどうなるかわかりませんよ。魔獣を一瞬で切り裂いたんですよ?』


 やっぱりどっかに放り投げるしかないな。


「待って! そのやっぱり放り投げるしかない、みたいな決意しないで!」


 なんで私の思考が読めるの?

 ソラウも私の考えてることがわかるみたいな感じだし、私ってもしかして考えてる事が顔に出てるの?

 考えている間に私の腰に回っていたはずのヴィの手がいつの間にか私の首を絞める形に変わってる⁉︎

 ちょ、やめ、意識が……


 無意識にか私を気を失わせるような行動を取ったヴィに文句をいう間もなく、私の意識は真っ暗になりかけ、今まで握っていた魔法の制御が手からすり抜けるように落ちたのが分かり、くらくらしながら確認するように上を見上げる。


「あ……」

「あってなに⁉︎」


 私が頭上を見上げているのに気付いたヴィが次に上を見上げ、精霊樹へと避難している精霊さん達やソラウ達も釣られるようにして空を見上げています。


 そこには私の制御から離れたせいか球体としての形を保てずに巨大な翡翠色の竜巻となった魔法があり、それがゆっくりと落ちてきていた。


『『「「「「のぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」』』


 落ちてきた竜巻の凄まじい威力に耐える術など持たない私たちは悲鳴を上げてあっさりと飲み込まれた。ソラウとイーリンスが瞬時に防御の魔法の出力を上げたのか切り裂かれることはなかったけど、しばらくの間空をぐるぐると回る羽目となった。

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[一言] 今日の教訓 自分の馬鹿力を知らない馬鹿ほど始末に負えないものはない
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