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エルフ、困る

レビューいただきました!

ありがとうございます

 

 私の固有魔力の色は翡翠色だ。

 魔力というのは個人によって色が違うものらしい。

 これは家族でも違うらしくお父様とお母様とも全く同じ色ではない。似たような色ではあるらしいんだけど同じ色じゃない。

 そして魔力の色によって相性のいい魔法がある。

 赤い色ならば火の魔法。青っぽい色なら水の魔法というような感じ。

 私の使う翡翠色の魔力というのは緑の色に入るらしく凄く風の魔法とは相性がいい。

 でも魔力量も大してなかった私ができるのは精々、風を刃にして飛ばしたり、勢いよく出したりするくらいだった。


 しかーし! そんな私にも魔力が勝手に増えるという精霊樹が味方についた訳だから、ちゃんとした魔法が使えるわけなのよ!


 私が今放ったオリジナル魔法、エルフ大旋風は簡単に言えば風魔法の卵だ。

 私の魔力を球体の形へと変化させ、それに風を食べさせる。そして喰らった風の量に応じてその魔法は威力を変化させる。

 ただ、魔力を風を吸収する球体へと変化させるには膨大な魔力が必要で以前の私なら作る事は可能でも維持する事は不可能だった。だけど今の魔力量ならば問題なくできる。


 本来なら風は閉鎖された場所でない限りどこにでも発生しているから別に空に向かって投げる必要はない。ただ手にしているだけでも風の卵は大きくなる。

 でもせっかく初めて使う大きな魔法なんだからどれくらいの威力が出るか見たいじゃない?

 そんな欲から私は全力で卵を天に向かって投げた。

 災害の森の樹々よりも高く、風が自由に吹く空に向かって。


 結果とんでもないことが起こった。


『たいひーたいひー』

『やばいよー!』

『せいれいじゅのそばににげろー』


 精霊さん達がかつてないほどに慌ててる。

 凄い必死な表情で精霊樹に向かって逃げてる。


『これは……やばくないかのぅ』

『やばいとかのレベルを超えてます!』

「きゅー! きゅー!」


 いつもどんな事が起こっても大体余裕があるはずのソラウの顔が蒼い。

 イーリンスの目にも涙が浮かんでる。

 フィズも尻尾を隠して丸くなってガタガタと震えてるし。


「あ、アリスさん! 君の壁でなんとかならないかなぁ⁉︎」

「む、無理です! あんなの喰らったら壁は一瞬で消し飛んでわたしなんてミンチになります!」

「レ、レオンは⁉︎ 聖剣なら斬れるよね⁉︎」

「……短い人生だったなぁ」

「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」


 人間ヒューム三人組はなんか絶望的な表情だ。


「うーん、どうしよう」


 みんなが絶望し切った表情で見上げているのを私も見上げた。

 それは空を覆うように広がっている翡翠色の風だ。でも私がいつも使う物とは規模が違う。

 激しく吹き荒れる翡翠色の風、いや、風ではあるのだけど巨大な翡翠色の球体。

 天高く浮かぶ風の球体は周りの風を取り込み、さらに大きくなっていってる。


「どうしようか」

「ブモォォォォォ!」


 腕を組んで考えていると暴風に巻き込まれたのか巨大な牛の魔獣が空を飛んでった。いや、吸い込まれてた?

 翡翠色の球体へと吸い込まれるように近づいていき、取り込まれる寸前で牛の魔獣は一瞬でブロック肉に変わり絶命。血と共にお肉が空から降り注いできたし。


「「ひぃぃ⁉︎」」


 完全にビビって、慰め合うかのように抱き合ってるヴィとアリス、そして降り注ぐブロック肉を見上げながら私は、


「制御出来ないんだけど、どうしたらいいかな?」


 困りながらソラウとイーリンスに尋ねた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前言撤回します。 イルゼさんは「かわいそう」なんじゃなく、 「自業自得」ですね。
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