プロローグ 始まりの1ページ
まだ途中
少年「ミロク」は今日という日を待ちわびていた。
今日この日は友達二人とともに、
父親が勤めている国立博物館に見学に行けるからである。
祖父から貰った見学チケット三枚を大事に持って、
近くの公園で待ち合わせている友達のもとへ走っている最中だった。
「ミロク!おっせーぞ!」
大きい声を張り上げているのはケイタロウくん。
「遅刻寸前だぞ? 早くいこーぜ」
急かしてる方がコウくんだ。
この二人は小学校低学年からの友達で、学校で良くいじめられていた僕をよく助けてくれた。
口は悪いしガラも良くないけど面倒見のいい二人組で、学校では一二を争うほどのモテ男。
「ごめんごめん! ちょっと準備して遅れてて」
僕は慌てながら、バスの時刻表を確認する。
幸いにもちょうど隣町行きのバスが到着し、良いタイミングで乗れた。
―――――
バスと徒歩で数十分はかかっただろうか、
目的の大きな博物館が見え始めた。
「本当に国立の博物館だったんだな」
「すげぇ~」
あまりの大きさと豪華な装飾に僕たち三人は唖然としていた。
しばらく見とれてから博物館の中に入り、チケットを受け付けのお姉さんに渡して入場。
すると入口のすぐ目の前でミロクの父親が待っていた。
「遅かったじゃないか我が息子よ~」
ミロクの頭をクシャクシャに撫でまわした。
「ちょっ…父さんやめてってば、僕はもう中学生になるんだよ」
頭を撫でられるのが恥ずかしくなる。
「まだ仕事が終わらなくてな、本当は一緒に見て回りたかったんだがな」
微笑みながら、ミロクの友達に目を配り「頼んだぞ」と言い廊下の奥へと歩いて行った。
―――――
博物館を見て回るのが飽きたので、
持ってきた携帯ゲーム機PSWで時間を潰すことにしたのだが、
PSWのバッテリーが切れてしまい、いよいよ時間を潰す方法がなくなってしまった。
時間も夕暮れに差し掛かった頃、博物館の中は人気がなかったので、かくれんぼを始めた。
がしかし、鬼役のコウとコウに捕まっていたケイタロウは警備員に見つかってしまい連れ出されてしまった。
しばらくすると日が落ちて窓の外からは月明かりが差し込み、倉庫に隠れていたミロクは夜になったことで不安になり、ケイタロウとコウを探し出してこの博物館から脱出することにした。
倉庫から出る間際、
「これって確か…父ちゃんが運んでたヤツだ!」
……しかし飾ってあった物と同じ見た目をしている。
「……!」
しばらく考えて、この倉庫にあるものを本物だと確信した。
「だ、誰もいないよな?」
周囲を見渡し、自分の他に誰もいないことを確信する。
そして好奇心と興味本位で転生の書を開く事にした。
すると! 暖かくまばゆい光があたり一面を照らし始めた――。
「……っ!」
あまりにも強すぎる光が、目を開けることも動くことも難しくする。
そして徐々にミロクの意識が薄れていき、数秒も持たずに気を失った…。
朝の陽光に当てられ目を覚ますと、
ミロクはなぜか「自分の部屋の中」で目を覚ましていた。